バレイショ遺伝資源開発学講座

国立大学法人 帯広畜産大学
〒080-8555 北海道帯広市稲田町西2線11番地

PGEL便り(2017年)

The big event is done!!

冬景色
日高山脈冬衣装

皆さま先日の十勝川温泉での次世代バレイショセミナーおよび帯広畜産大学での食シンポジウムでは大変お世話になりました。東京、長崎、関西そして北海道の各地域より、遠いところでは移動に半日以上かけて帯広までお越しいただき心より感謝しております。機会がなければ組織外部と接続-連結することがなかなか難しい者どうし、いつも挨拶程度の顔合わせだけの者どうしが、肩書や年齢に関係なく、膝をつき合わせて一緒にバレイショ界の発展を考え議論し合える場となったのではないかと思います。情報交換がどれだけ意味を持つのか、皆さまのお陰で切実に感じている次第です、本当にありがとうごいざいます。年一回これかも続けていきたいと思いますので、来年もどうぞよろしくお願い致します。

また、食シンポジウムでは十勝の地域の皆さまにも大勢お越しいただき、この業界の大きさに改めて驚かされました。また同時に十勝のバレイショ産業に関心が高まり、期待されていることが伺えました。札幌で開催されたポテトフォーラムでも生産者の方々から色々なご指摘を頂きました。地味で根気のいる仕事ですが、少しでも皆さまに見える形で成果を挙げていかなければと感じている次第です。

さて、温室では三日前から疫病菌接種試験を行っております。とっても元気に育った約1000個体の植物体を疫病接種プールに入れて、高濃度の疫病菌を散布しました。冷涼多湿条件下で1週間密閉してしっかり菌に感染させ、全く病班が見られない個体を抵抗性個体として選抜します。今日、中を覗くと病班がいくつか観察されましたので接種は成功していると思われます。この調子で菌にも植物にも1週間頑張ってもらい、抵抗性個体を選抜するとともに抵抗性遺伝子をしっかり確定させたいと思います。結果は来月報告します!

接種プール1接種プール2

接種プール396プレート
疫病菌接種プール 並行してマーカー検定もやっています

皆様、今年もお世話になりました。
(2017年12月13日 實友)


Season off? Yes, potatoes fell into sleep, but we are wide-awake!

豆畑
豆畑

霜の降りる朝を迎えた十勝には、毎日冬の冷たい風が流れおり、外を歩くと手や耳が悴む様になりました。一方、建物内には冬至までの間低い位置を移動している太陽の光が一直線に差し込んできて、一日中とても明るく暖かく、快適に過ごせています。この極寒の地の建築構造に改めて感謝、感心させられます。快適さや便利さを求めることこそが技術の発展とアイディアの創出になることは何でも同じですね。

シジュウカラハロウィーン
左は秋の紅葉 (中央にシジュウカラがいるのが分かりますか?)  右は今年の畜大ハロウィーン

さて、現在の温室1室から3室までは冬シーズンの交配、細胞質雄性不稔やinbred lineなどの実験材料、それに系統保存の植物体で満室になっています。In vitroからの植物体の鉢上げは植物体が超ひ弱のため、植え付けから水遣りまでかなり慎重に行っています。今年も3週間後にこれらの植物に疫病菌接種試験を行う予定です。

疫病検定植物疫病検定植物疫病検定植物
疫病抵抗性試験材料
実生収穫イモ1
また、この冬の間にDNAマーカー検定も急ピッチで進めており、ウイルス抵抗性遺伝子を備えた系統のみを残していきます。(右の写真は複数病害抵抗性遺伝子マーカーのマルチプレックスPCR)

今年の栽培結果報告を兼ねた、冬シーズンの会議も開始され、育種家の皆様は今年の反省を活かしながら新たな気持ちで来シーズンへ望んでいます。私たちも寄附講座第1期目の5年間が今年で終わろうとしており、新しい体制で来期を迎える準備を寄附者の皆様と行っている最中です。

春から秋までは目の前の膨大な作業に忙殺され、先のことを考える余裕はほぼなくなってしまいますので、この11月から3月の間に、色んなアプローチを考え、精一杯行動に移して、無駄なことが微塵もないように従事していきたいと思います。

(2017年11月6日 實友)


Are you satisfied with the greatest harvest 2017?
(What is the excellent results for agriculture?)

実生収穫イモ19月のお便りを更新できずに10月も半ばに差し掛かってしまいました。大変に失礼しました。当講座では例年通り、8月末から9月にかけて温室で植えていた子供集団のイモ堀りを行い、9月中旬に重量、比重を測定し、選抜しました(写真)。今年はほとんどの系統が花を咲かすことなく枯凋しました。その影響なのかは定かではありませんが、対照区を上回る多収の系統がたくさん出現し、よい親系統が各試験場へ配布できたのではないかと思っています。

実生収穫イモ2実生収穫イモ3

生産者の畑、育種場の畑の方もともにイモの収穫はほぼ終了した様子です。今年も一ヶ月の重労働、お疲れ様でした。今年は各地で大豊作の声が聞こえます! 収穫の時期はイモが重過ぎて、アザができたり、腰にきたり…普段は可愛がっている植物達ですが、憎たらしく感じる時がありますね…。特に今年は、掘っても掘ってもイモが出てきたことと思います。昨年は台風により大打撃を受けましたので、たくさん獲れる年は大変にありがたく大喜びすべきところですが、市場価格のことなどを考えると、どうもどの地域も豊作だったらすべてがHappyではないのが世の流れの様です。豊作はとても望ましいことのはずなのに・・・無くても困り、有り過ぎても困るのが農業なのだと、このままずっと将来まで言い続いていいのか?っとぶつけようのない怒りを軽く感じている次第です。作る側も売る側も買う側もよい循環を探していかなくてはいけません。

紅葉さて、10月に入り、十勝は一風吹けば木の葉が舞い散る日々となり、瞬く間に秋が通り過ぎようとしています。大学では後期の授業が始まり学生方はより一層研究に励んでいます。 温室のほうでは、系統保存の植え付け、冬交配の親の植え付けと播種の準備が整い、秋作がスタートしました。シカに食べられてなくなった系統もありますが、それも種を撒き直しました。メキシコ野生種を利用した系統も、世代は進み、着実に栽培型へ近づいています。交配してから8年が経ちようやくここまで来た感があります。世に送り出した後、しっかり活躍できるように、抵抗性遺伝子をたくさんつけて選抜していこうと思います。一歩ずつしか進めませんが、この一歩が将来の大きな飛躍になることを願っています。

(2017年10月11日 實友)


Just a bit more patience until harvest of potato

麦収穫

先週から続いておりました十勝のコムギの収穫はほぼ全て終了した様子です。今年は天候にも恵まれ豊作では?!と黄金色に輝くムギ畑を見ながら思った次第でしたが、どうだったのでしょう、そろそろ辺りから声が聞こえてくるかと思います。バレイショ畑のほうも種イモ畑はもう生育終了、一般の方も黄変が始まり、早いところではそろそろ収穫が始まるのではないかといったところです。昨年の不作を払拭できることを心より願っています。

open campus

大学では先月末にオープンキャンパスが行われ、多くの高校生が松尾記念温室の前のショーガーデンにツアーの一環として足を運んでくれました(右の写真)。初めて見たバレイショ野生種や近縁種に皆さん興味津々で説明する方も力が入りました! ありがとうございました。バレイショ育種についても関心をもってくれました学生の方々、近い将来、また大学でお会いできることを楽しみにしています。

さて、我々の中間育種の方はといいますと、幕別町の生産者の畑で疫病抵抗性系統の選抜のために植えている836個体ですが、昨日調査に行ったところ疫病菌はまだ襲来しておらず植物体に病斑はありませんでしたが、その替わりにシカの集団に襲われました。全体の1/3の植物が無残にむさぼられて散らかっていました。せっかく30度を越す猛暑の日も草引きに入ってしっかり管理していたのに、除草して植物体がきれいに見えている所を狙われたようです。なんとも残酷なことに草引きが裏目に出ました。とんだ自然災害に遭遇しましたが、残りの個体でなんとか選抜したいと思います。収穫までもう一踏ん張りです。それまでに取れるデータをしっかりとってお盆明けからの収穫シーズンに備えたいと思います。
疫病抵抗性材料シカの害
花盛りの疫病抵抗性材料(左)、シカの被害(右)
(2017年8月9日 實友)


Report of special correspondent at Versailles

はじめに、九州北部豪雨の災害に見舞われました方々に心よりお見舞い申し上げます。

小さなお便りコーナーですが、全国各地からお便り未更新の嘆きを頂きました、すいません、ヨーロッパバレイショ学会参加のためフランスに出張しておりました。開催地ベルサイユより、現地の報告をしたかったのですが、あまりに忙しすぎて更新できずでした、申し訳ありません。今回は特別バージョンでお送りしたいと思います(アルバムも更新しました)。

ノルマンディーベルサイユ宮殿
ノルマンディー(左)、ベルサイユ宮殿の庭(右)

まず、今年の学会会場でありましたベルサイユとバレイショには深い関係があります。南米からバレイショが伝播した16世紀後半のヨーロッパの人々にとってバレイショは、その見た目の悪さから悪魔の実といわれ全く普及しませんでした。そこでルイ16世(ないしはその側近)が、妻のマリーアントワネットの帽子にイモの花をつけさせ綺麗な植物だとみんなに認知させた後、農民がマリーアントワネットの宮殿からイモを盗めるようにしたことが、バレイショの普及の始まりだという一説があります。なのでバレイショ関係者にとっては、マリーアントワネットは、農民に種イモの植え方を教え兵士にイモを食べるように勧めたフリードリッヒ大王(フルートの達人)や、バレイショを植物学的に詳細に研究し広く宣伝した植物学者パルマンティエ(しかし彼はイモから美味しいパンが作れなかったので家畜の食べ物だと説いてしまった)に次いでバレイショとたいへん繋がりの深い人物です。その例の庭をこの目で見てきました(写真もご覧ください)。フランスの村を再現した素晴らしい家庭菜園畑でした。しかし、植えられているバレイショの花は綺麗な紫を想像していたのですが、味気ない白い花がぽつぽつと咲いているだけでちょっとショックでした。植えられているのが何の品種か気になりましたが写真を撮るだけにしてDNAを取るのは止めておきました。昔の品種がもう途絶えてしまったのならここへ日本から観賞用の品種エスペランサ ビオレータをプレゼントしたかったです。花が綺麗なのもバレイショの魅力です!

マリーアントワネットの庭庭のイモ畑
マリーアントワネットの庭(le Petit Trianon)(左)、庭のイモ畑(右)

そして、3年に1度開催されるヨーロッパバレイショ学会に今年は51カ国から448名が参加した様です。日本人は寂しいことに私一人でした。学会発表の中でバレイショの伝播を示す1800年頃のヨーロッパ中心の世界地図が出てきたのですが、その世界地図の中に日本列島は影も形もありませんでした。それに気づいたのも私一人かと思うともっと切なくなります。3年後良い研究成果を抱えて大勢で発表しに行きたいと思います。
研究内容としては、気候変動の話題にプラスして殺虫剤、殺菌剤を使わずしていかに病害虫からバレイショを守るかが大きなテーマでした。というのも、ヨーロッパでは農薬削減の政策が急速に進められているからであり、今まさに育種、栽培、病理学等の専門家がさまざまな視点から一緒になって考えなければいけない状況に立たされている様子でした。1回農薬を撒いてしまえば簡単に防げる虫や菌ですが、農薬なしで退治するのはかなり難しく、きっとこれから10年以上(永遠?)の課題となると思います。このIBM (Integrated Biodiversity Management、総合的生物多様性管理)の時代がもう間もなく日本にも到来すると思います。本来、農業とは何も壊さない、自然のサイクルで動かすことのできる営みだと思います。これまでの化学農薬、化成肥料が当たり前の考え方をチェンジして、柔軟にこの課題へトライしていきましょう、私たちに何ができるか!?

小粒バレイショ無防除畑

もう一報は現在の帯広です。
どうもここ2週間30度以上の真夏日だったようで、暑さにやられて黄色く枯れてしまった株がいくつか見られますが、全体的な生育は至って良好の様子です。疫病菌は暑すぎて途絶えてしまったようで、今年は抵抗性個体を選抜できるのか、少し不安です(病気が出ない方がいいのにこんなこと言ってすいません)。私たちが選抜してきた個体はどれもどんな所でも見た目はなかなか旺盛です。野生種が入っているだけに野生的?なんだと思いますが、イモをつけているかが勝負なのでまだ何とも言えません。(左上の写真は疫病抵抗性、右上は小粒バレイショ選抜圃場の様子)

Alwara後代北農研で栽培して頂いてるAlwara後代集団は早生と晩生にしっかり分かれており、これからこの材料で熟期関連遺伝子の仕事をやっていけるかなと思っています。
以上です。

8月はしっかり更新しますので、待っていてください。
皆様よい夏をお過ごしください。




(2017年7月22日 實友)


Relief after planting

植え付けが終わり、今期が無事にスタートしました。みなさん植え付け作業、大変お疲れ様でした。冷たい雨の中、豊作祈願&植え付け完了BBQ祭に足を運んで頂いた皆様もありがとうございました。昨年の台風の悲劇が脳裏にも十勝の地形にも刻まれてはいますが、どうか今年は収穫まで気候に恵まれ、よい収穫、よい選抜ができますようにと願いを込めます。

出芽を待つ温室前の見本園実生苗定植済み
出芽を待つ温室前の見本園 (左)、実生苗定植済み(右)

今年は真冬の防寒服を着用して震えながら植え付けを開始し、最後は立っているだけで汗が滴る猛暑の中で終了しました。2週間で十勝は日本一寒い場所タイトルも日本一暑い場所タイトルも頂きました。雨も多く予定は後ろへ後ろへずれ込んでいき、なんともすさまじい5月の陽気(狂気?)でした。こんな気候にも耐えうる強靭な品種や母本を作るためには、同時に強靭な育成者でなければいけないと言われているようでした。でもそれなら全員クリアですので、後は良いモノが出ること間違いなし?!です・・・。勿論そんな根性論だけでなく、近年、経験に基づいた育種から科学的根拠に基づいた育種へシフトしつつあります。前回も記載しましたが、バレイショは生育環境によって形態を変化させるのが本来の姿で、広域に適応する品種は稀です、ましてや全長2000キロ以上の日本全土で適応できる品種なんて超稀。しかし世界で育成されているバレイショ品種や日本全土で普及している名の知れたベストセラー品種が存在するということは、それらが何かしらの環境適応遺伝子を持っているのか!!?興味深いところですね。これから全ゲノムのSNPを比較して調べていきたいです。今、温室では極強疫病抵抗性遺伝子Rpi-blb3を導入した系統(未発表)を栽培種に交配しています(下の写真)。DNAマーカーを用いた選抜もこれからどんどん増えてきそうですし、これからの品種がどう変わっていくのか(普及するのはおそらく20~30年後ですが)乞うご期待あれです。

実不稔
5x雑種(品種 × 6x S. pinnatisectum hybrids)の実(左)と不稔の花(右)

(2017年6月6日 實友)


A vital point “one third”

二日前の十勝は31度まで気温上昇、今朝は2度まで気温低下、サクラもびっくりして花を咲かす前に葉が伸びてしまった個体が多く見られます。この時期に毎年やってくる猛暑でしたが、今年のは強烈でした。連休も関係なく日出から日暮れまで植え付け作業中の生産者の皆様が倒れていないことを祈ります。予報からの予防は植えられている植物にとっても植える人間にとっても大事ですね、雨、風、雪、猛暑、取れる対策をするしかないです。明日から私たちも連日、畑作業と温室での交配作業に追われます。暑さには十分抵抗性がありますが、自分だけで作業しているわけではないので、メンバーの誰一人として体調を崩すことのないように気をつけて植え付け月間を乗り切りたいです。

植え付け作業
一斉に、植え付け作業中

オオバナノエンレイソウザゼンソウ
一斉に咲き誇る花々(左の写真はニリンソウとオオバナノエンレイソウ、右の写真はザゼンソウ)

エゾヤマザクラエゾエンゴサク
左の写真は一夜で満開になるエゾヤマザクラ、右の写真は大学構内のエゾエンゴサク

播種さて、先日はADG由来の優良配布系統を使った83集団の収量と比重を測定しました。その数は1240個体、1個体1分30秒で測定するとしても30時間の計算で、開始時は気が遠くなる作業でしたが、何とかやりきることができました。一年目の予備実験ではありましたが、よいデータが取れましたので、この中から今後の研究用と育種用の材料集団を選び出したいと思います。それに続いて今シーズンの5500粒の実生の種撒きも終わりました(右の写真)。これまた気の遠くなる数でしたが、講座のメンバー全員で黙々と行い予想よりかなり早く終えることができました、みんなに感謝です。
研究も育種も農業もと~~~っても時間がかかる仕事なので、膨大な数や量に対する膨大な仕事が目の前にあると、これから待ち受けているとてつもない労力を想像してしまい、不安になって気が折れそうになります。止めたい、避けたい、延期したいけれども、その重たい腰を上げ、いざ取り掛かり始めると、しかし何だか、1/3を超えた所から、取り組む前の恐怖は不思議と無くなっていき、もうやるしかないという気持ちに切り替わるような気がします。なので、最近思うことは、やりはじめ1/3が大きなポイントなのかと!気が重い仕事はたくさんありますが、しり込みせず、1/2は遠くてもまずは1/3を目指して行く、これからのイモの植え付けもそう考えながら進めていきます。

(2017年5月8日 實友)


The siren broke the silence!!

クロッカス先週までは帯広の空に遊園地ができたのかと思うほどに、あちらでもこちらでも白鳥の群れが大声で掛け声を出し合いながら、北への旅路を急いでいました。4月に入り雪解けはぐんぐん進み、薄霧がかかった早朝に芝草の匂いが立ち込める野原では、せわしないヒバリが空陸見境なく競い合い、山林でもカラ達のサイレン鳴りが反響しています。まさに春まっしぐらの十勝です。すでに畑を起こしている生産者も見られ、十勝の春颪(日高地方ではオロマップと呼ぶらしい)に土埃が舞い始めました。しかし、賑やかな春の訪れとは裏腹に、河川敷の雪解けと共に見えてきたのは、陥没した道路に、引き剥がされたアスファルト、大木の残骸…。昨年の台風の被害はこんなにも深刻だったのかと再び傷心せざるにはいられません。畑の復興に3年以上かかると予想されているところもあり、けっして良いことばかりのスタートではないかもしれませんが、なんとか今年度も稔りの秋に思いを馳せてがんばっていきましょう。

sto

当講座もやる気満々で、新車の小型トラクターを買ってしまいました。これで畑のイモ堀りも怖いものなし!? 温室には学生達の研究材料もたくさん並んでいますし、新学期の多忙な日々ではありますが、少しずつモノが出来上がっていくという事が日々の楽しみであり支えのような気がします。(下は現在の温室の様子、右は温室に咲くS. stoloniferum
温室の様子


トラクタークロッカス
 新車が来ました・・・!                        イモ料理で学生と一緒に景気付けしました

(2017年4月9日 實友)


Innovation + potato = Potavation!!

十勝ポロシリ
十勝ポロシリの朝焼け

写真のとおりいまだ朝日に照らされた雪山がそびえる十勝ですが、日光の力強さを感じています。雪解けもあっという間です。

“ある日の温室"先月は大事なミーティングがいくつかありました。色々な人から色々な場面で私達の研究や事業に意見を頂き本当に感謝しています。見直し改善するきっかけをたくさん頂きました。ありがとうございます。
一年に夏は一回しかなく、植え付けも一回、収穫も一回、なので植物様との面会は年一回だけです。さらに彼らには休眠があり3ヶ月間は眠っています。ジベレリン処理で叩き起こして温室で栽培しても、自然な生育をしないのはご承知のとおり。試験がしたくても来年…
そんな難しい状況でどうやってスピードをつけて、“使える”材料の提供を行えばいいのか!!? 自然には逆らえないけど、焦ってもいけないけど、文句ばっかり言ってるとシワだけが増えますね、成果を増やさないと…。
ストロンが長く、極晩生で、目が深く塊茎の形が悪い、いわゆる野生形質を取り除くためにどういった系統を交雑すればいいのか? 超越分離を期待できるように、ヘテローシス(雑種強勢)を起こすために必要な遺伝領域をいかに探すか? Pectobacterium属によって引き起こされる細菌病の黒あし病と軟腐病の抵抗性系統を作れるのか? こういった課題が現場から浮上しました(どうすればいいか勉強中です)。
現象や機構の解明、あるいは遺伝子の同定が基礎研究に課せられた使命でありますが、畑を前にして、科学的な価値だけに目を向ける訳にはいかず、かと言って遺伝子に頼る部分は確かに大きくて……そんなジレンマを常に抱えていますが、皆様から頂いたアドバイスを決して無駄にせず、これからの仕事に活かしていきたいです。

温室の実生と矮性矮性の塊茎矮性の塊茎2
矮性個体の気中イモをin vitroに入れました

ある意味、うちも今流行りの“Innovation”を意識してやっていきます。4月の新年度に向けてGo!!!!

山へ続く道
(2017年3月4日 實友)


Cold enough to freeeeeeze!

樹氷の世界
樹氷の世界

早朝の温室皆さんこんにちは。今年に入って十勝は、例年より気温が低くマイナス30度近くなる日が頻繁にあり、頭がガンガンする日がよくありましたが、2月に入り立春を迎え、凍える寒さの中にも、春近い?っと感じることが出てきました。3年前、植物が全凍結した悪夢の2月5日も何事もなく終わり、一安心です。といってもまだまだ余寒は厳しく目に見えての春は当分先のようです。めげずに残りの寒さも乗り切れますように。(右は早朝の温室)

学生諸君は卒業・修士論文を書くシーズンで、卒論発表会も終わったところではありますが、学生部屋はまだ時々24時間電灯がついているようです。見ていないようで、皆見ていて応援していますよ!どんな事でも学生時代に一生懸命やったことに無駄はない!っです。

さて、中間母本の交配は順調です。それと、コナフブキと優良Andigena系統(多収、高デンプン価のF1)の交配集団に高い頻度で矮性個体が出現しています。ざっと数えると、3つの組み合わせ各180個体中(計540個体)、合計15個体が矮性です。これ普通でしょうか!? 矮性とジベレリンの関係は古くから報告があり、矮性遺伝子(劣性a)を1つ(AAAa)でも持っていると頂芽へのジベレリン合成が早くにストップし、塊茎を形成する経路へ切り替わることが知られており、それが塊茎収量に影響するのではないかとされています。 コナフブキはまさに多収で広域適応がある品種!この特質は矮性遺伝子が関与しているのか、とっても興味がありますね。さらに上記の分離頻度をもう一度チェックすると、1組み合わせ当たり約 35:1の割合で出現、つまり、AAaa x AAaaの交配であったのではないかと予測できます。従って、コナフブキのもつ矮性遺伝子とAndigenaのもつ矮性遺伝子はallelic!!?であり、もしやga1遺伝子??であり、収量に関係!!? みたいな事を考えています(ちょっと専門的になってすいません…)。誰かコナフブキの矮性遺伝子を同定してその効果を確かめる研究しないですか~、誰もいなけりゃ自分でやりましょうか…思案中です。

矮性と正常個体30のうち3
左は正常個体と矮性個体、右は30個体中3個体が矮性個体

来作へ向けて色々な打ち合わせが控えている2月です。育種事業の方もそろそろ春へ向けて始動ですね。

(2017年2月6日 實友)


2017!! Year of ToRi!!

あけましておめでとうございます。
皆様今年もどうぞよろしくお願いします。

鶴と気球

農業ならびに食物に携わる職業である限り、予想外の事件は日常茶飯事、心身ともに波乱曲折でありますが、それぞれ困難に負けず目標へと着実に進んでいける敢為邁往の年になりますように。
遅くなりましたが、新年のご挨拶とさせていただきます。

袋詰め今年の寒さは非常に厳しく、ボイラーの不調が既に2度ありました。早めに気づき対応しましたので、植物凍結の被害は避けることができました。温室の現在の状況は、温室1での系統保存は袋詰め終了(右写真)、温室2はAlwara由来の極早生系統、ADG由来の高デンプン系統集団、STOの細胞質雄性不稔系統、自殖第9世代の純系集団などが、びっしりと植えられています。温室3では中間育種材料の交配が最盛期を迎えています。

当バレイショ遺伝資源開発学講座は、29年度が5ヵ年契約の最後の年になります。小さな所帯ではありますが、5年間、皆様の支援のもと精一杯やってきました。お察しのとおり、根幹を支える役目は地味で、やったことの効果は遠い未来に現れることと思いますが、何をやってきて、何をやっていくのか、皆様にしっかり示していけるように今後も事業を続けていきたいと思います。中間育種用の新規材料の導入以外にも、バレイショ遺伝育種学が解るフレッシュマンの育成や、迅速な情報提供等を心がけ、良い循環を作っていきたいと思います。何卒ご支援よろしくお願い致します。

オオハクチョウ” hspace=オジロワシ

オオワシ
左上はオジロワシ、左下はオオワシ、右上はオオハクチョウ
(2017年1月15日 實友)