牧畜エコシステム学セルユニットでは、乾燥および半乾燥地帯における持続的な飼料資源の利用と家畜生産の安全性向上に関する学際的調査研究および畜産衛生学特化型人材育成を行います。2050年には世界人口が95億人を越えると言われ、動物性タンパク質の増産が益々求められています。これからの家畜生産は、世界の陸地面積の約1/4を占める乾燥地・半乾燥地における飼料資源の持続的利用と家畜生産システムの安全性向上にかかっているといっても過言ではありません。こうした状況の中、本セルユニットでは以下のような調査研究・人材育成を行います。1)自然環境と調和した牧草種の選択および持続的栽培管理、2)放牧による持続的土地利用、3)農業副産物の飼料資源としての有効利用技術の開発、4)家畜生産に重大な影響を及ぼす人畜共通伝染病や栄養障害などの疾病予防システムの構築、5)そこで家畜を飼養して生業を営んできた人々の在来技術および在来知識を取り入れた環境調和型牧草栽培・土地利用システムの構築を目的に活動します。これらの研究教育の実施フィールドは、モンゴル、中国新疆ウイグル自治区、シリアを候補地とし、国際機関や現地の大学をカウンターパートとして拠点形成を行います。本ユニットの最大の学際的特色は、植物生態学、草地利用学、家畜飼養学ならびに臨床獣医学といった自然科学分野だけではなく社会科学的分野(文化人類学)からのアプローチを加え、地理的・文化的背景を踏まえた環境調和型の飼料資源システムを開発するところです。本研究の成果は、学術論文やセミナー等を通して公表され、日本における地域飼料資源を基盤とした新たな家畜生産技術の開発にも貢献するでしょう。これらの一連の活動を通じて畜産衛生学特化型専門家を育成します。
The purpose of pastoral ecosystem cell unit is 1) to conduct the interdisciplinary survey and study of herbage production and animal husbandry semi-arid region, based on both in indigenous knowledge and technology, and 2) to educate human experts in animal and food hygiene through these activities.