帯広畜産大学 / Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine

OBIHIRO GCOE: Animal Global Health

拠点からの“声” 拠点構成員ブログエントリー / Member's Blog

2010.07.15(Thu)

第43回国際無脊椎動物病理学会

記入者:AGH助教 相内 大吾

こんにちは。AGH助教の相内です。
ただ今私は、第43回国際無脊椎動物病理学会(43th Annual meeting of the Society for Invertebrate Pathology: SIP)で研究成果を発表するため、トルコは黒海沿岸の町トラブゾンに来ております。ここトラブゾンはトルコの田舎と言った感じでしょうか?基本的に英語は通じなく、道を歩いていると「日本人ですか!うちの子ども達と一緒に写真を撮ってください!」(トルコ語なので多分)などと声をかけられ、パンダを演じている今日この頃です。

SIPは私が学生のころから参加している学会のひとつで、昆虫病理学分野では最大の学会です。今回は世界53カ国から様々な昆虫・微生物を扱っている研究者がここに集っています。

また、今回のオープニングシンポジウムは「Biology of the Tsetse fly: Interaction with Parasite, Pathogen and Symbionts」のタイトルで行われ、さらに続く「Environmental Change and Entomopathogenic Fungi」のシンポジウムではペンシルバニア大学のDr.Matthew Thomasがマラリア媒介蚊と気候変動に関する講演を行いました。このことからも私が携わっている「衛生動物の微生物防除」に注目が集まりつつあることが伺えるかと思います。うかうかしていられません・・・・。しませんけど。

いつもながら学会に参加すると、やってみたいことや取り入れたいことがあれこれインスパイアされて、日本に帰ったら忙しくなりそうです。

では、イイギュンレル!

Post Index

拠点からの“声” 拠点構成員ブログエントリー / Member's Blog

2010.07.06(Tue)

この写真は何だと思いますか?

記入者:AGH助教 楠本晃子

赤と緑のつぶつぶは何だと思いますか?
赤と緑のつぶつぶは何だと思いますか?

突然ですが、この写真は何だと思いますか?
赤と緑のつぶつぶがいっぱいですね。

色覚検査?
マーブルチョコ?
ハイドロカルチャーに使うジェル?

正解はサルモネラです!!

ひとつひとつのつぶつぶがサルモネラです☆

サルモネラといってもただのサルモネラではなくて、生きている菌と死んだ菌を染め分けるBacLightという試薬で染め分けたサルモネラたちです。

BacLightはPIという赤く光る蛍光色素とCyto9という緑色に光る蛍光色素で、細胞を染め分けます。
PIもCyto9も細菌の細胞膜を透過することができ、核酸に結合し、蛍光を発します。
生きた細胞と死んだ細胞にこの2つの色素をかけると、どちらも細菌細胞の膜を透過し、細胞内に浸透しますが、生きた細胞ではPIは細胞外へ排出されてしまいます。
そのため、生きた細胞のDNAにはCyto9のみが結合し、緑色に光ります。
一方、死んだ細胞では、PIは排出されませんので、死んだ細胞のDNAにはPIとCyto9の両方が結合しています。
PIはCyto9の発色を抑えるので、死んだ細胞は赤く光ります。

このように、細菌細胞の生死を赤と緑に色分けして判別します。

ところで、サルモネラってこんなに丸かったっけ?と思う人がいるかもしれません。

するどい指摘です!!

通常、サルモネラは細長い棒状の形態(桿状)をしていますが(桿菌)、この写真のサルモネラは、生きているが培養できない状態(Viable But Non-Culturable, VBNC)になっています。
VBNC状態になると、サルモネラは丸くなるんです。
このようなVBNC状態での形態変化はサルモネラ以外の細菌でも報告されいますが、なぜ丸くなるのかは謎です。

私たちは、食中毒の原因菌であるサルモネラのVBNC状態について研究しています。
BacLight染色でどれくらいの細胞が生きているか、培地にまいても生えてこないかを調べ、サルモネラがVBNC状態になったかどうかを判別しています。
なので、BacLight染色は私たちの研究には必須の手法です。

毎日のようにBacLight染色画像を撮っています。
たまにはべん毛がどばーっと生えたサルモネラを見たいなぁと思うこともあります。

フィールドワークではなくて、ラボワークの紹介でした。

Post Index

拠点からの“声” 拠点構成員ブログエントリー / Member's Blog

2010.06.04(Fri)

ザンビアに行ってきました

記入者:国際フィールド調査論ユニット 麻田正仁

 はじめまして、麻田正仁と申します。国際フィールド調査論ユニットの井上先生と共にザンビアにトリパノソーマ症の調査に行ってまいりましたので書き込みませて頂きます。私は4月に帯広畜産大学・原虫病センターのポスドクに着任して東京から帯広に移り、3週間も経たないうちに今度はアフリカに行くことになりバタバタしていましたが、アフリカでのフィールド調査は非常に有意義な経験でした。
 本年度は3週間の日程でザンビアの北東部にあるチャマという地域を主体に家畜(ウシやヤギ)の血清及び媒介昆虫であるツェツェバエのサンプリングを行いました。家畜の血液を採るというと簡単そうに聞こえますがそれが意外と大変でした。というのは家畜の飼主の協力や現地でのカウンターパートナーの協力が不可欠なのは言うまでもありませんが、実はフィールド調査ではサンプリングを行う場所に行き着くというのも一苦労です。写真は車が泥道に嵌って動けなくなっているところです。別に私が運転する訳ではないのですが、川に橋が無い、道路が舗装されていない、舗装されているが陥没している、家畜や野生動物が勝手気ままに道路を横切っている等はよくあります。また、郊外ではガソリンスタンドがほとんど無いため持参のガソリンの給油を行ったり、悪路のため車が故障するのでその度に井上先生が車の修理とドライバーへの運転指導を行ったりといった状況が起こります。因みにこの写真の後、車は出て来ることができましたが、行く予定だった村はキャンセルされてしまいました。
 しかし、そうした困難を乗り越えて得られるサンプルほど貴重なものはありません。今回は大きな事故もなく無事目標量のサンプルが得られたため安堵していますが、フィールドで得られたサンプルは大切に使わなければいけないと改めて感じました。

Post Index

拠点からの“声” 拠点構成員ブログエントリー / Member's Blog

2010.03.27(Sat)

日本細菌学会@横浜

記入者:AGH助教 楠本晃子

ポスター発表を熱心に説明しています
ポスター発表を熱心に説明しています

今日から横浜で日本細菌学会に参加しています。
日本細菌学会はとても古い学会で、今回の年会は第83回の開催です。
ちなみに第1回は1927年に北里柴三郎会長(!!)によって開催されています。
私は畜大に来る前からこの学会に所属しており、
ほぼ毎年参加し、発表をおこなっています。
この学会は、数年前までは医学、歯学、薬学系の研究が主流でしたが、
近年はそれ以外の分野の研究者も多く参加し、
様々な分野の研究者がお互いの研究を刺激しあう場となりつつあります。
自分の研究分野と近い研究から離れた研究まで幅広く触れることができます。
今回、私たちの研究室からは私と学生1名がポスター発表をおこないました。
今回参加した学生はこれが初めての学会発表でした。
とても一生懸命たくさんの発表を見て、自分の発表にも全力投球していました。
多くの研究に触れて刺激を受けて、自分の研究に活かしたいです。

Post Index

拠点からの“声” 拠点構成員ブログエントリー / Member's Blog

2009.12.03(Thu)

モンゴルの大平原でのフィールドワーク

記入者:AGH助教 楠本晃子

ヤクを3人で押さえつけての採血風景。ヤクも必死で抵抗します。
ヤクを3人で押さえつけての採血風景。ヤクも必死で抵抗します。

こんにちは。
遅くなってしまいましたが、7~8月にモンゴルでおこなったフィールドワークを報告します。

炭疽菌はテロ事件で利用されたことで有名ですが、日本に住んでいる私たちにとっては普段身近な病原体ではありません。
しかし、世界中には土壌が炭疽芽胞に深刻に汚染された地域があります。
そのような地域では、家畜が草と一緒に炭疽芽胞を体内に取り込むことで、炭疽菌に感染し、そのほとんどは死亡します。

今回の調査地のモンゴルも炭疽に汚染された地域の一つで、家畜の炭疽菌感染がしばしば起こり、問題となっています。
家畜の炭疽感染を防ぐには、自然発生状況の把握と家畜へのワクチン接種が必要です。
しかし、ワクチンの効果についての詳しい検証はなされていません。
そこで、今回のフィールドワークでは、モンゴルでの炭疽自然発生状況と、家畜の炭疽菌ワクチンの効果を調べるために、家畜の血清のサンプリングをおこないました。

3日間のフィールドワークはモンゴルの首都ウランバートルから西へ約300kmのハラホリン(カラコルム)を拠点に、現地の遊牧民の家畜(牛、馬、ヤク、ラクダ、羊、山羊)の血清サンプリングをおこないました。

家畜と言っても、モンゴルの家畜は半野生で、簡単に採血させてはくれませんでした。
さらに、柵など動物をつなぐ物も何もない場所で採血をするので、動物を人間の力だけで押さえつけ保定しなければなりません。
羊とヤギは割とおとなしいので扱いやすいのですが、大興奮している牛、ヤク、馬を保定し、さらに採血するのは大変でした。
鼻息荒く興奮している動物を数人がかりでロープと素手で押さえつけました。
牛1頭から採血するのに30分以上はかかったような気がします。
そんな大変な作業の末、3日間でおよそ300サンプル集めることに成功しました。

今回のフィールドワークはモンゴル獣医学研究所の協力なくしてはできませんでした。
遊牧民たちが彼らの大切な財産である家畜からの採血を快く協力してくれたのは、彼らの家畜の健康を管理している地元の獣医師が仲介してくれたからです。
そして、事前に獣医師と綿密にコンタクトを取ってくれたのがモンゴル研究所の方々です。
フィールドワークは人と人のつながりによって成り立っていると言っても過言ではないでしょう。
今後もこのつながりを大切にし、今後のフィールドワークにつなげたいです。

サンプリングの大変さ、カウンターパートとの協力関係の重要性を学んだフィールドワークでした。

Post Index

拠点からの“声” 拠点構成員ブログエントリー / Member's Blog

2009.11.05(Thu)

刺されるとすごく痛い(物理的かつ精神的に)

記入者:AGH助教 後藤康之

井上先生・菅沼君の力作!!!
井上先生・菅沼君の力作!!!

  黄熱研究の野口英世が黄熱病で亡くなった様に、感染症の研究を実際の現場で行うことは必要不可欠でありながら危険を伴います。GCOEプロジェクトとしてザンビアで眠り病の調査中、病原体を媒介するツエツエバエ(写真)に刺されてしまった時はすごく痛いと同時にすごくブルーになってしまいました。
  あれから約半年、とりあえず眠りに陥ってないのでまあ大丈夫かと思いつつ、そんな恐怖が生活の一部となっているであろう現地の人のことを考えると非常に心苦しいです。最近はインフルエンザが問題となっていますが、種類は何であれ感染症が怖い・嫌だなという気持ちは世界どこでもだれでも一緒なんだなと思います。私たちの研究によって有用な薬剤やワクチンが開発され、アフリカの人々が感染症におびえることなく安心して暮らせるようになる日が一日でも早く来るようにと願うとともに、自分を鼓舞する今日この頃です。

Post Index

拠点からの“声” 拠点構成員ブログエントリー / Member's Blog

2009.09.29(Tue)

日本繁殖生物学会

記入者:AGH助教 白砂孔明

学生もしっかり質疑応答
学生もしっかり質疑応答

こんにちは。AGH助教の白砂孔明です。
9月9-12日に奈良・近畿大学で開催されました、第102回日本繁殖生物学会大会に参加をしてきました。
日本繁殖生物学会は、私達の研究室メンバーが毎回欠かさず参加をしている「楽しみ・戦場・刺激」となっている学会です。家畜や実験動物は勿論、野生動物も対象としており、研究内容としては性分化・性成熟・卵胞発育・精子形成・排卵・卵巣機能・妊娠・泌乳などさまざまな雌雄の性と生殖に関する現象とそのメカニズムに関する研究、またこれら基礎的な知見を応用した人工繁殖に関する様々な技術の開発が含まれています。
私の活動報告ですが、恐らく無事に、英語での口頭発表を行うことができたと感じています。これまで私の研究にご指導・ご協力を頂いた沢山の先生方のお陰で、今回のチャンスを頂くことができました。本当に有難うございました。発表では、当然、英語のスキルアップ・自然な議論など、問題点は数多く発見できました。また、この発表機会を頂いたおかげで、大御所の先生方に声をかけて頂き(発破もかけて頂きましたが)、近い年代の先輩にはこれまでに感じたことのない刺激を頂きました。経験値を積み上げ、レベルアップをし続け、今回のような素晴らしい機会を再びゲットできるように進んでいきたいです。
本番の学会発表では、私たちの研究室の学生もしっかり質疑応答を楽しんでいました。この学会を通して色々刺激され、「こんな研究やりたい!」などと熱くなるのが良いですね。特に、今回は発表がないにも関わらず、来年以降の後学として参加をした4年生がアグレッシブに質問していたのを嬉しく感じました。この世界が非常に楽しいと感じてもらえたようですし、是非これから一緒に良い研究を作り上げていきましょう!
自分の立場や考え方が変わってきた段階での初めての学会、本当に良い経験を得ることができました。「面白い研究」を作り上げ、次大会以降に新鮮な風を吹き込みたい!と強く思い、関西を後にすることができました。

AGH助教 白砂孔明

Post Index

拠点からの“声” 拠点構成員ブログエントリー / Member's Blog

2009.09.17(Thu)

はじめまして

記入者:AGH助教 相内 大吾

サンプリングの風景
サンプリングの風景

はじめまして、衛生動物防除学セルユニット・AGH助教の相内大吾と申します。

私の研究分野は昆虫病理学です。病理学と申しましても蟲のハライタを治そうというのではなく、宿主(昆虫)と寄生者(微生物)の関係を理解する事で、むしろ蟲の病気を害虫の防除に役立てようという学問です。

私は昆虫寄生性の微生物の中でも特に菌類を扱っており、これまで微生物ハンティングと菌の育種に携わってきました。現在は昆虫寄生菌による感染症媒介蚊の防除に関する研究を進めており、『変な特徴』を持った菌の探索に勤しんでおります。これらの菌を使って合成化学農薬による衛生害虫防除の代替技術の確立を目指していきたいと思います。

今年はアフリカのブルキナファソで調査・サンプリングを行う予定なので、逐次フィールドの様子などアップしたいと思います。

では、また。

Post Index

拠点からの“声” 拠点構成員ブログエントリー / Member's Blog

2009.09.11(Fri)

こんにちは

記入者:AGH助教 後藤康之

ザンビアにて ツエツエバエ捕まえに
ザンビアにて ツエツエバエ捕まえに

国際フィールド調査論ユニット・AGH助教の後藤康之です。

熱帯感染症の診断技術開発に取り組んでいます。その中で常々感じるのは、これは有用だ、あれは有用だという研究が世に多くある割には、現地ではそれら研究の産物があまり見つけられないことです。机上で有用なものと、実際に現地の方が是が非でも使いたいと思うものには大きなギャップがあるなぁと考えさせられます。

国際フィールド調査論では、いわゆる疫学に加えて地理的、社会的、経済的な観点も含めて、感染症の実態とその対策を網羅的に解析することを目指します。フィールド(現場)とラボ(基礎研究)のバランスを重視しながら、途上国での感染症のコントロールに直接貢献していきたいです。

今後ともよろしくお願いいたします。

Post Index

拠点からの“声” 拠点構成員ブログエントリー / Member's Blog

2009.09.08(Tue)

はじめまして

記入者:AGH助教 楠本晃子

モンゴルの断崖絶壁を登りました
モンゴルの断崖絶壁を登りました

はじめまして。
バイオセキュリティセルユニットのAGH助教の楠本晃子です。

私の専門分野は細菌の分子生物学で、環境ストレス下での細菌のサバイバル戦略について研究しています。細菌は環境ストレス下に置かれると、生きてはいるが、培養できない『冬眠』状態に陥ります。この『冬眠』状態は、厳しい環境を切り抜けるための細菌のサバイバル戦略のひとつと考えられています。私はこの『冬眠』状態のメカニズムを分子生物学的手法で明らかにしたいと思っています。

8月にモンゴルで初めてのフィールドワークに挑戦しました。その様子については近日アップしたいと思います。

今後ともよろしくお願いします。

Post Index
Copyright © 2008-2009 Animal Global Health HQ Office. All Rights Reserved.