帯広畜産大学 / Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine

　本学は創立以来、我が国で唯一の獣医畜産系単科大学として、日本の食料基地である北海道十勝の立地条件を生かし、農畜産に関する基盤研究実績をはじめ実践的な専門教育活動を展開しています。近年、BSEや鳥インフルエンザの地球規模での流行など、食品を巡る諸問題が続発し、「食の安全確保」は日本のみならず世界レベルの最重要事項のひとつとなっています。これらの問題は感染症と直結していることがその特徴であること、これらは全て動物由来感染症であり、農畜産物を介して人に伝播する可能性が高いこと、アジアやアフリカの開発途上国を中心とした食肉生産のグローバル化が進められていることなどから、畜産衛生分野における食の安全への関心が急速に高まっています。そのために畜産・獣医学領域に新たな複合的学術基盤を構築し、感染症だけではなく畜産衛生全般に携わることができる、国際的に卓越した専門家の育成体制を確立することが必要です。
　その基盤となる本学の21世紀COEプログラム「動物性蛋白質資源の生産向上と食の安全確保−特に原虫病研究を中心として−」が平成14年度に採択され、その活動成果により、畜産衛生学に重点化したアジア・環太平洋地域を代表する獣医・畜産系単科大学から、イギリス・ドイツ・米国・南アフリカなどの同分野での世界「トップ５」に名を連ねる、人獣共通特殊疾病を専門とするグローバルな高度教育研究拠点形成を達成することに成功しました。その実績をもとに、平成20年度にグローバルCOEプログラム「アニマル・グローバル・ヘルス」開拓拠点」が採択されました。本プログラムでは、獣医学・畜産科学両領域の有機的な融合による新たな教育研究基盤をベースに、21世紀COEプログラムにより設置が強力に促進された畜産衛生学専門の大学院博士課程畜産衛生学専攻をそのコアとして据え、「食の安全確保」に貢献しうる、世界に伍する能力を持った専門家養成を進めます。すなわち、世界の中でただひとつしか存在しない、畜産衛生学に重点化した世界オンリーワンの国際的教育研究機関への飛躍的発展を目指しているところです。
　本学は、本プログラムでの拠点活動と共に、その使命として“食の安全”に係わる「動物食品の安全監視」に対する学術貢献を掲げ、より一層の努力を重ねて行きたいと考えております。本プログラムに対する皆様のより一層のご支援をよろしくお願い申し上げます。

University president Hideyuki Nagasawa  国立大学法人　帯広畜産大学長　長澤　秀行