何 寧

プロフィール

出身地:中国黒龍江省
趣味:
特技:料理
研究テーマ:
  研究の背景パネル
好きな言葉:

1. C3,C4とCAM植物における過酸化水素含量と抗酸化酵素活性の差異 雑誌名:園芸雑(J.Japan.Soc.Hort.Sci.)70(6):747-752. 2001. 作者:李 進オ・趙 習コウ・松井鋳一郎 (発表:2004年4月16日(金)
背景: 植物の光合成代謝系はC3,C4およびCAM光合成型に分けられる。 異なる光合成型の植物間では光呼吸などが異なっているので、活性酸素の生成とその消去機能も異なると考えられる。本研究では光合成型の異なる植物種について、通常の生育環境で葉中の過酸化水素含量および抗酸化酵素のSOD,APX,CAT活性を分析し、活性酸素とその消去酵素の光合成型との関連について検討を加えた。<論文ゼミ@のまとめ>?通常の生育条件下のC3植物(9種)、C4植物(7種)とCAM植物(9種)について、H2O2含量および抗酸化酵素のSOD,APXとCAT活性を調べた。その結果、C3とC4植物の葉中のH2O2含量は同レベルで、CAM植物より少なかった。?C3植物ではSOD,APXとCATともに高い活性を示したのに対し、CAM植物ではいずれの酵素ともに低い活性を示した。C4植物はC3植物より高いAPX活性と低いCAT活性を示した。?これらの結果から、植物は光合成型によってH2O2などの活性酸素の酵素的な消去機能を異にすることが明らかになった。

2.光ストレスおよび遮光栽培におけるCattleyaとCymbidiumの葉の抗酸化酵素活性および色素含量の変化 雑誌名:園芸雑(J.Japan.Soc.Hort.Sci.)70(3):372-379. 2001. 作者:李 進オ・趙 習コウ・松井鋳一郎 (発表:2004年5月28日(金)
背景:  ラン栽培では、室外でも温室内でも強行環境を避けるように遮光を行う。しかし、遮光が不適切であったりすると葉が濃緑化、あるいは反対に黄変し、極端なときには開花不良や葉焼けなどの生理障害を生じる。  本実験では、光ストレスを与えたとき、抗酸化酵素活性や色素含量がどのように変化するか検討を行い、ラン栽培における光防御に関する指針となる知見を得ることを目的とする。<論文ゼミAのまとめ>?Cattleyaの強光区では遮光栽培3週間以内に葉色の変化が見られなかったが、その後、葉の黄変に伴い葉の一部に白色化や組織壊死を生じる葉焼けが観察された。Cymbidiumの強光区では葉の黄変が2週間後から見られ、1ヶ月後緑色が顕著に減退し、3ヶ月後には葉長も対照区よりも著しく短かった。これに対し、弱光区ではCattleyaの葉色はやや濃緑に変わり、 Cymbidiumでは葉色の濃緑化と3ヶ月後の葉の徒長が際立った。
?以上の結果から、CattleyaはCymbidiumより強光への積極的的適応性を有するが、両植物種とも強光への順化が一般に困難で、弱光への順化は相対的に容易であると考えられる。

3.低温処理がCattleyaとCymbidiumの葉の抗酸化酵素活性に及ぼす影響 雑誌名:園芸雑(J.Japan.Soc.Hort.Sci.)70(3):360-365. 2001. 作者:李 進オ・松井鋳一郎 (発表:2004年6月11日(金)
背景:  CattleyaとCymbidiumは営利的に栽培が行われている。栽培における過度な温度変化が起こるとクロロフェルの退色、葉の壊死などの顕著な障害を生じる。低温順化中、植物細胞のタンパク質と代謝などが変わり、次第に低温抵抗性が獲得され、これに伴って抗酸化酵素の活性も変動するが、ランに関しては知見が乏しい。  本研究では、熱帯原産のCAM植物であるCattleyaと温帯原産のCymbidiumが、低温条件に対して抗酸化系をどのように発現、機能させているか、短・長期にわたる活性酸素消去系酵素活性の変化から明確にし、両植物の生理的な特色に基づく栽培の温度管理に対する指針を目的とした。<論文ゼミBのまとめ>?CymbidiumのSOD活性の回復は、6日後から見られ、 Cattleyaに比べて早く、また、そのAPX活性の増加もCattleyaより10日間ほど早く停止したことから、 Cymbidiumは低温順化が容易であることが考えられる。 Cattleyaは熱帯原産なので低温順化に長い時間を要し、栽培限界を超える今回の実験では低温ストレスが長く継続した結果を示している。?さらに、SODはストレス初期における関与の重要性を、APXは短長期にわたる順化の過程の指標を、CATは光合成様式を含めた両植物種の生理的差異を示す要因を表していると考えられる。

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