黒澤 聡

プロフィール

出身地:神奈川県相模原市
出身高校:神奈川県立相模大野
趣味:サッカー、麻雀、パチンコ、ドライブ
特技:ラオウを天に帰すこと
研究テーマ:アズキの低温障害
  研究の背景パネル
好きな言葉:我が生涯に一片の悔いなし

1.日作紀(Japan.Jour.Crop Sci.)50(3):401-406 佐藤 庚、朴 慶培、水稲葉色物の低温障害に関する研究 第2報 葉色の低温による変色、常温における回復と色素組成との関係、ならびにその品種間差
Abstract 可視部の光を吸収する色素は多種類存在するが、葉緑体に存在し、光合成反応に必要な光エネルギーを吸収する色素、すなわち光合成色素の種類は少なく、化学構造から次の3グループに大別される。第1はクロロフィル、第2はカロチノイドで、これらはすべての光合成生物に存在する。第3はフィコビリンで、前二者に比べて、限られた光合成生物にしか存在しないという。クロロフィルはa、b、カロチノイドにはβ-カロチン、ルテイン、ビオレキサンチン、ネオキサンチンがあり、クロロフィルは可視部のうち、青色部(〜400nm)と、赤色部(650〜700nm)をよく吸収するとされている。佐藤・朴らは水稲の葉色は低温あうと低温の程度によって緑色から黄色ないし褐色に変色すると報告した。しかし、低温による水稲の葉色の変化を光合成色素の組成から検討した成績は見当たらない。著者らは、苗代期の圃場で観察される低温による葉の変色、温度上昇に伴う葉色の回復の両過程を、ファイトトロンを利用して、実験的に再現し、この両過程を色素組成の変化から明らかにしようとした。

2.Plant Physiol.(1994)106:537-546. Zheng-Hui He,Jianming Li,Christer Sundqvist,and Michael P.Timko, Leaf Developmental Age Controls Expression of Genes Encoding Enzymes of Chlorophyll and Heme Biosynthesis in Pea(Pisum sativum L.)
Abstract 葉の生長がクロロフィル合成系およびヘム合成系の酵素に与える影響をエンドウを用いて調査した。クロロフィル合成系の酵素およびヘム合成系の酵素(ALAデヒドラターゼ、PBGデアミナーゼ、プロトクロロフィリド〈Pchlide〉レダクターゼ)mRNAの発現量と酵素量を測定した。暗黒下または光照射下で吸水した種子を1〜14日間生育したサンプルを用いて行った。吸水直後の葉でALAデヒドラターゼとPBGデアミナーゼmRNAの発現は認められたが、PchlideレダクターゼmRNAの発現は認められなかった。3つの酵素のmRNA発現量は生育するときの光の有無にかかわらず、6〜8日で増加した。暗黒下で生育した葉mRNAの発現が最も多いのは8〜10日であり、その後、減少した。光照射下では若葉mRNAの発現量が最もかった。暗黒下、光照射下ともに酵素量の増加はmRNA発現のピークよりも遅れた。吸収スペクトルでPchlideの蓄積をみると、波長の長いピークをもつPchlideは吸水した直後の葉で検出されたが、波長の短いピークを持つPchlide(Pchlideが光によって分子構造が変化した形式)は吸水直後には検出されなかった。その後にPchlideレダクターゼ量の増加と相関してPchlide(波長の短いピークをもつもの)が増加した。暗黒下で2,6,8,10,14日生育した後、光照射下に移し、24、48時間のPchlideレダクターゼmRNAの発現量は生長した葉(10〜14日)ほど顕著に光の影響を受けた。これらのことから、クロロフィル合成系の酵素は生育の初期に共通の調節メカニズムがある可能性が示唆された。さらに、この調節メカニズムは光の影響を受けないことがわかった。

3. The Plant Cell,Vol.7,2081-2090,December 1995 1995 American Society of Plant Physiologists, Nikolai Lebedev, Barbara van Cleve,Gregory Armstrong,and Klaus Apel, Chlorophyll Synthesis in a Deetiolated(det340) Mutant of Arabidopsis Without NADPH-Protochlorophyllide(Pchlide)Oxidoreductase(POR)A and Phtoactive Pchlide-F655.
Abstract シロイヌナズナの光合成は2つのNADPH-Pchlide還元酵素(POR)によってコントロールされている。そのうちのひとつであるPOR Aは黄化実生に光を当てたときに一時的な活性しかもたない。一方、POR Bは緑化した植物で作用する。暗黒下で生長した黄化実生が緑化する場合、これらの酵素の機能はシロイヌナズナのdet340突然変異体と野生種との間で研究されている。暗黒下で生長させた場合、det変異体はPORAとPclide-F655が欠乏するが、第二のPchlide還元酵素であるPOR Bは維持される。以前はPchlide-F655がクロロフィル構成に関与するPchlideであると考えられていたが、det340突然変異体は光照射下に置かれた時、POR AおよびPchlide-F655の欠乏にもかかわらず緑化できる。光照射の初めに、det340突然変異体の芽は光酸化の損害に敏感で、弱光でのみChlが蓄積する。それらは、光化学系TとUの中核を形成するが、集光構造がほとんど欠けています。この研究の結果は、頻繁に行われている通常のクロロフィル合成経路に加えて、PORAを必要せずにPORBによって進む別のクロロフィル合成経路があることが示唆される。

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