畜産食品科学実習
1日目:グループ共通のサンプルで測定する。得られたデータを公開し、全員のデータを使って平均値と誤差を計算する。 2日目:(開始時に)グループで測定したいサンプルを決めて持参する。測定したい理由と目的、得られる結果について推定を各自発表する。実際に測定して、データをまとめる。清水高校生が2時30頃から実習を見学に来る。 例えば、サンプルの上と下での違い、色の違う箇所の違い、新しいものと古いものの違い、産地の違い、品種の違いなど 7/13(最終日) データ発表を行う。内容は、ビタミンと植物タンパク質の範囲で行う。A4サイズ1枚限定(小嶋よりOHPを7/7に配布、パワーポントでもOK)。2人で発表グループとする。発表資料を作り、発表者の役割を決めておく。発表は5分以内/1グループで行う。発表(201室)も評価に加える。その後、全体の掃除、部屋の整理などを全員で行う。 |
課題レポート <課題1>ビタミンに関するレポート課題 1.ビタミンの生理的意義について。動物が合成できるビタミンは?植物は?微生物は? 2.ビタミンの分類と種類 3.補酵素とビタミンの関係は? 4.アスコルビン酸の生合成経路 5.アスコルビン酸の役割・働きについて <課題2>豆腐作り実習の課題レポート 1.タンパク質の凝集する仕組みについて原理を述べよ。 2.加工食品に利用されている植物タンパク質と動物タンパク質とは何が違うのかを項目ごとに示せ:(1)栄養素(2)色 (3)味 (4)香り (5)機能性成分 食品に利用されている植物タンパク質、動物タンパク質の具体的な例をあげよ。また、世界の大豆タンパク質の利用状況、日本の現状について述べよ。植物タンパク質の評価は動物タンパク質のそれより劣るだろうか?エネルギーコストから考えて、将来のタンパク質源確保について考えをまとめよう。 |
実験の操作 ビタミンCの定量(食料生産科学ユニット実習マニュアル) 2.器具類:(実験は2人グループで行う)乳鉢x1、乳棒x1、50mlもしくは100mlメスシリンダー、メスフラスコx1、共栓遠心管(ファルコンチューブ)x2、パスツールピペットx2、スポイトx1、安全ピペッターx1、ペットボトル(メタリン酸溶液x0.5、3%チオ尿素(ビーカーに分ける)、5倍希釈ASA(ビーカーに分ける))、ガラスビーカー(硫酸)、ピペット10mlx1、5mlx1、遠心機(3階)、PPビーカー200ml x1、100ml x2、50ml x1(試験管立てに使うものもある)、分光光度計(化学実験室から借りる)、セル、マイクロピペット1000P x1、ブルーチップ x10、脱脂綿、マーカーペン、軍手、包丁、まな板、天秤 3.実験方法: 3-1.抽出操作:試料は、柑橘果実、豆もやし、柑橘類ジュース、野菜など 試料3〜5gを精秤して5%メタリン酸を加え、冷やした乳鉢中で磨砕する。磨砕抽出液は濾過(脱脂綿)する。5%メタリン酸で複数回ホモゲナイズ抽出して50mlとする(メスアップ)。(乾物は0.3~0.5g程度を精秤して、同様に操作する。) 3-2.実験操作:[AsAの5倍稀釈(AsA溶液5ml/5%メタリン酸20ml)を調製する] 1.試料から抽出したロ液8mlはファルコンチューブに取り、名前を書く。 2.別のファルコンチューブに、5倍希釈したASA標準液(200μg/ml)1.0mlと5%メタリン酸7.0mlを取る。(ブランク) 3.サンプルとブランクのチューブに、それぞれパスツールピペットでDCIPを5〜6滴滴下して、すぐに蓋をして混ぜる。1分間放置しても反応液が微紅色を保つようにする。 4.3%チオ尿素(5%メタリン酸中)4mlを静かに加え混ぜる。 5.10分間放置後(タンパク質変性のため)、遠心分離(3000回転、約5分)を行い、上澄み液を得る。(全量:12ml、メタリン酸:5%濃度、チオ尿素:1%濃度) 6.サンプルとブランクの上澄み液2mlを10mlガラス共栓遠心管2本(AとB)に取る。 7.A管には0.1mol/1-DNPH(4.5mol/l-硫酸中)0.5mlを加え、軽く混ぜる。50℃、1.5時間(水浴恒温槽中)でオサゾンを生成させた後、反応停止(氷冷)する。 8.B管は加温せずに温室で放置する。 4.分析操作:(しっかり蓋が閉まっていることを確認すること) ・ A管:試験管内液を氷水中で激しく混和しつつ、90%硫酸2.5mlを1〜2分間かけて徐々に滴下後、よく混ぜる。(マイクロピペット500μl x5に合わせる。発熱するので注意が必要である) ・ B管:氷水中で90%硫酸2.5mlを滴下後、0.1mol/1-DNPH(4.5mol/l-硫酸中)0.5mlを加えよく混ぜる。(A管と同様に行う。発熱するので注意が必要である) A管とB管いずれも室温に20分間放置後、1〜2回程度混ぜ530nmの吸光度を測定する。 5.ビタミンCの計算方法: X=200(E/S)×50/8×100/A×1/1,000 X:総ビタミンC(mg/100g試料中) E:試料測定における吸光度(A試験管値―B試験管値) S:ASA標準液測定における吸光度(A試験管値―B試験管値) 200:ASA標準液1ml中のASAのμg A:試料重量 50/8:試料を50mlに定容、そして8mlを分析 100/A×1/1,000:試料を100gおよびμgをmgに換算 6.試薬の調製: 1.5%(W/V)メタリン酸(HPO3):5gのメタリン酸を100mlの蒸留水で溶かす。(多めに調製したほうがいい。濾過後冷処保存) 2.0.5%(W/V)DCIP:0.5gのDCIP(ジクロロインドフェノールナトリウム、室内大試薬棚上段)を100mlの蒸留水で溶かす。チューブに5ml程度分注する。 3.3%(W/V)チオ尿素:チオ尿素4gに5%メタリン酸を加えて100mlとする。(冷処保存、1ヶ月は使用できる) 4.0.1mol/lDNPH(4.5mol/l-硫酸中):蒸留水75mlに硫酸25mlを少しずつ加え、DNPH2g(ジニトロフェニルヒドラジン、室内小試薬棚2段Dの引き出しに入れている)を溶かす。(1ヶ月は使用できる) 5.90%硫酸:蒸留水10mlに硫酸を90ml加える。(硫酸は危険なので、手袋を使う) 6.ASA標準液(200μg/ml):5%メタリン酸100mlにアスコルビン酸0.1gを溶かす。用時、5%メタリン酸で定量的に5倍に希釈し200μg/ml(5%メタリン酸中)溶液を調製し標準液とする。10倍希釈の場合は100μg/ml。 |
豆の科学 ---豆腐作りに見る植物性タンパク質の凝固反応 帯広畜産大学 食料生産科学 小嶋道之 1 豆腐作りの原理 豆腐は、大豆の水可溶性タンパク質を加熱変性後、塩や酸などを加えて、沈殿、凝固(ゲル化)させたものである。大豆には約35%のタンパク質が含まれ、その大部分は貯蔵タンパク質のグリシニンとβ-コングリシニンである。これらは、ほぼ等量含まれていて、両者で全タンパク質の80%を占めている。 大豆タンパク質などが水に溶解した物は親水コロイドというが、この親水コロイドは水との親和力が強く、粒子のまわりに多くの水分子を強く引きつけて溶液の安定を保っている。この親水コロイドを凝析させるには、水との結合を引き離すことと、電荷を中和することの両方を行う必要がある。一般に、親水コロイドは疎水コロイドに比べて凝析しにくいが、多量の塩類を加えることにより凝析を起こす。 2 豆腐の凝固剤 豆腐の凝固剤としては、天然にがり(塩化マグネシウムを16%含有しています)が使用されてきた。これは他の凝固剤に比べて収量が低いといわれている。最近の豆腐に用いられている主な凝固剤は硫酸カルシウム(すまし粉)で、軟らかい豆腐ができる。また、グルコノデルタラクトン凝固剤は、加熱によってグルコン酸に分解されて作用するので、少し酸味が残るが、きめの細かい軟らかい豆腐(絹ごし豆腐に適している)ができる。 3 凝固剤の代用品 豆腐は、タンパク質を2価金属イオン(凝固剤)で固めたものである。代用品としては、酸を多く含む飲料(レモン水、栄養剤など)などがあり、酸によりタンパク質を凝固させることができる。 4 温度の重要性 豆乳を加熱すると、サポニンなどの影響でよく泡立つ。泡消しのための消泡剤や食用油を数滴落とす方法もあるが、ふきこぼさないように弱火で加熱すると、豆腐が固まらないこともあるので注意が必要である。凝固剤の投入温度は、高すぎるとすぐ凝固して粒子の粗いざらざらした舌触りのものとなるが、低すぎると粒子が細かく固まらないことがある。凝固剤投入の適温は75〜80℃である。そのほかに豆乳の濃度、凝固剤投入後のまぜ方、型枠の穴の大きさ、布目の細かさ、おもしの重さなどにより、できあがる豆腐の風味や固さに違いが生じる。 5 豆腐を溶かす 豆腐は、アルカリでは溶けてしまう性質を持っている。すなわち、重曹などを溶かしたアルカリ性水溶液で豆腐を煮ると溶け出してしまう。例えば、弱アルカリ温泉水を利用して湯豆腐をつくっている九州の嬉野温泉では、それが名物になっていて、同じような物は、1%の重曹沸騰水に豆腐を入れるとできる。 手作り豆腐を作ろう 材料:大豆、ニガリ液 道具:ミキサー、ざる、温度計、ボウル、木ヘラ、鍋(2個あると便利)、計量カップ、おたま 仕込み:大豆300gを洗い3倍量の水につける。8〜9時間(夏期)、15(春秋)〜20時間(冬期) ニガリ液…豆腐2丁分は食養ニガリ分包1袋(12.5ml)を白湯(50cc)で溶かして作る。 作り方: @ 仕込み済みの大豆とつけ水を2分間ミキサーにかける(大豆と水は等分で、3回程度に分けて行う)。これを生呉という。(水が少ないとミキサーが空回りするので注意) A 深鍋に、1300mlの水を煮立たせ、生呉を入れる。こげつかないように木ヘラ等で静かにかき混ぜ、沸騰したら一度火を消す。少し泡がおさまったら、改めて弱火にして8〜10分煮る。 B この煮汁を布袋にあけ、大きめのボウルに絞る。絞り汁が豆乳であり、袋の中に残ったものがオカラである。(熱いので箸と木ヘラ等を使い、ざるに押し付けるようにして絞る。手で絞る) C しぼり出た豆乳を鍋に移して弱火で温め、80℃程度にする。豆乳から作る場合は、1?を温める。(温度が低いと固まらない。高すぎると早く固まり、かたい豆腐になりやすいので注意する)表面に張ってくる膜は湯葉である。 D 温めた豆乳をすぐにボウルに移し、ニガリ液をしゃもじをそえながら少しずつ加え、底の方からゆっくり静かに2回かきまぜて全部加える。その後、冷ます。(まぜすぎるとかたい豆腐になる) E 15分程すると全体が凝固してくる。作り器に仕上げ布を敷いてDをすくい入れる。(作り器の型に入れなければ、寄せ豆腐)水が出てくるので、受けの上で行う。 F 上方を仕上げ布の端でおおい押し蓋をして水を入れたビンを置き、水をきる。15分くらいそのままにしておく。(500g〜800g程度のものを用いる。あまり重いとかたい豆腐になる。 G 豆腐が固まったら、箱からそっと抜き、仕上げ布につつんだまま水の中に移して布を取る。30分程度水にさらし、ニガリのアクをぬく。豆腐2丁分が出来る。 <豆腐の製造実験>−凝固剤の種類の違いが豆腐の出来に与える影響を確かめる― 実験方法 (濃い豆乳の作り方:水と豆の割合を12.5%にする) 1.大豆80gを水150mlに1晩つける。 2.ミキサーに大豆を入れ水800mlを加えて磨砕する。できた呉を搾る。 3.おからを戻して水150mlを加え、もう一度磨砕して搾る。 4.直接加熱して、沸騰前に弱火にする。泡は取り除き、加熱を3分程度続ける。暖めた豆乳をこしきで越しながら、ポリ容器に移す。 5.グループ毎に、3本の50mlチューブに下記の溶液を各3ml加えておく。 (スポイトを押してパスツールですった分、2回分が約3mlである) Aグループ:1.硫酸カルシウム、2.グルコノデルタラクトン、3.水 Bグループ:1.食塩、2.酢酸、3.塩化マグネシウム(にがり水) 6.5.で加熱した豆乳は、手付きポリ容器に移して40mlをおのおのチューブに加え、軽く混ぜる。チューブのメモリで行う。前2列、中2列、最後の列で豆乳を使う。 7.火を止め、70℃前後に加熱した湯浴に入れる。よく蓋を閉めておくこと。10〜15分保温する。 10.3種類のチューブともに、それぞれガーゼで豆腐(個体)をろ過して、搾った後にガーゼのまま重量を測定して、固まったタンパク質重量として、下記に記入する。 (問) どの凝固液が優れているのか比べよう。豆腐が凝固する仕組みを考察し、どうして差ができるのかを考えよ。
<豆腐が凝固する仕組みと重量に差が出る理由> <カラフル豆腐の製造実験> A 製造方法 (1) 加熱処理した野菜(電子レンジなどで加熱処理をしたもの)と同量の水を加えミキサーにかける(30秒程度)。 (2) 豆乳に対して、1/4量以下の野菜ジュース(こしたものでも良い)を加える。 (3) 豆乳を75℃前後に加熱し、天然にがり(2gをぬるま湯50gに溶かしたもの)を回し入れる。強く攪拌すると出来上がりが悪くなるので、ヘラなどで十字を書くように一度だけ攪拌する。 (4) 天然にがりを添加すると、大豆タンパク質はすぐに凝固を始めるので、そのまま5〜10分程度静置する。静置後、鍋の上に箸を2本置き、ガーゼを敷いた型箱2個をその上に載せて、凝固した豆腐を型入れに流し入れる。 (5) ガーゼを折りたたみ、その上に牛乳パックの側面を切り抜いて蓋として置き、水を入れたコップを重しとしてのせる。 (6) 10〜15分ほど水を切った後、豆腐を取り出し、水に入れて30分程度さらす。 カラフル豆腐の特徴 紫キャベツなど植物色素を加えて作った豆腐は、酸性やアルカリ性にすると色が変わります。すなわち、できあがった豆腐にレモン汁や酢など酸性水溶液を加えると、豆腐がピンク色に変わります。また、重曹などアルカリ性水溶液を加えると、緑色に変わります。 <牛乳豆腐の製造実験> 豆乳や牛乳、酢(2〜5%)食酢であれば10〜15 ml、レモン果汁であれば20 ml程度 作り方
そのままでも良いが、コンデンスミルク(約50g)や寒天溶液(約100ml)などを加えて練り、冷蔵庫で冷やし、食べるときにジャムなどを付けるのもよい。 |
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小嶋担当分の畜産食品科学ユニット実験実習に関するアンケート 1. ビタミンCに関する実験 悪 やや悪 中 やや良 良 興味を持った 2 2 17 3 理解度 2 9 12 1 必要度 1 5 12 6 合計 0 5 16 41 10 (気づいた点など記入してください) ・ガーゼでろ過しているうちにビタミンCが減っていたように思う 2. 豆腐作りに関する実験 悪 やや悪 中 やや良 良 興味を持った 2 3 10 9 理解度 1 6 12 5 必要度 2 11 9 2 合計 0 5 16 31 16 (気づいた点など記入してください) ・酸による凝固で作った豆腐について始めて知りました 3. 今後やってみたい実験があれば記入してください 4. 生物実習で行っているような内容について、小・中・高校生、一般市民に対して帯畜大が行っている理科に関する生涯学習プログラムを知っていますか。また、学生ボランテイアとして参加したいと思いますか。 知っている 13 知らない 9 参加したい 7 参加したくない 5 わからない 10 5. 質問 |
履修学生のレポート ビタミンCの定量(食料生産科学ユニット学生レポート、参考レポート) *目 的* ビタミンCは体内で合成することはできない上に、多量に消費されるものである。また、水溶性であるので体内から排出されやすい。よってビタミンCは体にとって必要不可欠なものであるにもかかわらず、不足しがちであることがわかる。試料を例として、試料にはどの程度ビタミンCが含まれているかを知り、今後の摂取に役立てることを目的とする。 ・30日の実験でパセリを試料とした理由について パセリは日常よく食すというものではなく、その上飾りとして使用され、食さない場合 も多い。仮に、パセリに多量のビタミンCが含まれているとしたら、現状を改善し、パ セリを身近において食したほうが良い。パセリにどの程度ビタミンCが含まれているか を知り、今後に行かすことを目的とする。 また、パセリは葉部分は茎部分よりもタルタルソースなどで薬味として用いられることが多い。しかし、葉部分よりも茎部分の方がビタミンCが含まれているとしたら、茎部分も摂取する必要があるので、今回の実験では葉部分と茎部分に分けてどちらの方がビタミンCを多く含むのかということも知り、今後に行かすことを目的とする。 *実験結果*
*考察* まず、オレンジのビタミンCの結果について、かなりのばらつきが見られた。今回は全班同じオレンジを使用したので、もう少し近似の値が出てもよいはずである。また、オレンジの可食部分について154g中に72mgビタミンCが含まれていると記載されており、100g中に換算すると46.75mgであるので全班が10mg以上の誤差が出たという結果となった。この理由として考えられるのは、2つ挙げられる。1つは抽出段階で磨砕しきれなかったこと、2つ目は、吸光度の読み取りの誤差である。6班はデジタル式の分光光度計を使用していたため、2つ目の理由は考えにくい。しかし、6班の誤差が最も小さいので、この2つの理由が考えられる。今後、吸光度計をよりマスターし、このようなミスをなくす様努める必要がある。次にパセリのビタミンCの結果であるが、食品成分表を参考とすると葉部分のビタミンCは100g中120mgとなっていた。これより、今回もかなりの誤差が生じており、上記のような2つの誤差の理由が考えられる。そして、パセリのビタミンCは100g中120mgであるので、かなりのビタミンCを含んでいる。しかし、パセリを100g食べようとしても無理が生じてくるので、パセリを補助的に摂取すればよいだろう。スープやパスタ、タルタルソースなどにふりかけ、ビタミンCを摂取することを心がけたい。 豆腐を作ろう実験 *目的* 豆腐を作るということを通して、植物性タンパク質の凝固反応を見る。また、タンパク質を凝固させるにはどのような凝固剤が適しているかを学ぶ。 *実験結果*
*考察* このように重量に差が出る理由として考えられるのは、実験手順Gでガーゼで濾過し、水を切る操作が考えられる。少ししか水を切らなかったり、硬く水を切ったりすることで重量の差が出たことは十分考えられる。また、Eの操作で軽く混ぜるという操作で激しく混ぜた班と軽く混ぜた班とではやはり重量の差は出てくるであろう。 豆腐が凝固する仕組みについて 豆腐が凝固するには、親水コロイドを水分子から引き離し、電荷を中和させるという2つの操作が必要である。よって凝固剤を加えることにより、pHが変化し、逆の電荷が生じ(等電点沈殿)、凝析する。また、マグネシウムやカルシウムなどのニ価イオンが結合し、沈殿するからである。 <オレンジのビタミンC定量>(学生提出レポート、参考レポート) 〈実験目的〉ビタミンCの定量法を知り、オレンジの皮と実でのビタミンC量を比較する。 〈実験結果〉
〈考察〉結果はまばらなものとなった。平均では、皮より果実の方がビタミンC含量が多く、☆の平均では皮のほうが多くなった。これより、☆の平均では皮の方がビタミンC含量が多かったので、皮の方が多く含まれているのではないかと予想はできるが断定はできない。また、使ったオレンジの袋の成分表示によると、可食部72mg/154gとなっていた。これより、100g中は、46.75mgである。この値と比較すると、皮・果実の平均どちらとも多く、☆の平均の方が近い値となっており、☆の値を参考にするべきであると考えられる。☆の平均より、可食部は、38.65mg/100gだったので、オレンジ1個(約154g)に換算すると、59.52mg/154gとなり、成人が1日に必要とするビタミンC量は100mgであり、オレンジ1個食べたら1日の必要摂取量の1/2摂取することができる。また、今回の結果より、皮の方がビタミンCを多く含むと予想されるため、皮もミキサーなどで細かくし摂取すれば、より効果的と考えられる。 <各自の試料でビタミンC定量> 〈実験材料〉生のトマトとトマトジュース 〈実験目的〉トマトでトマトジュースを作るときの加熱の段階で、どれくらいのビタミンCを失うのか、また、トマトとトマトジュースではどちらを摂取する方がビタミンCを摂取するのに効率が良いかを知る。 〈実験結果〉
試料採取量(g):生トマト :5.58g トマトジュース:4.9919g(*1がSample) 計算結果:生トマト 14.54mg/100g トマトジュース 42.31mg/100g 〈考察〉実験結果より、生トマトよりトマトジュースのほうが、ビタミンC含量が多いことが分かった。しかし、トマトジュースは殺菌の段階で加熱するため、ビタミンC含量は安定せず、全てのトマトジュースに同じ量が入っているとは断定できない。今回の結果からは、生トマトよりトマトジュースを摂取する方が効率が良いが、全てのトマトジュースにおいて言えるわけではない。なぜなら、今回使用したトマトジュースは、KAGOMEのカゴメトマトジュース(食塩無添加)であり、他の会社で作られたトマトジュースでは違う結果が出ることが考えられる。また、カゴメトマトジュースに使われているトマトは、「凛々子」というトマトジュース専用の高リコピントマトで完熟したものである。このトマトは、生食用トマトよりもビタミンC含量が多く、トマトは完熟したものほどビタミンC含量が多くなるため、トマトジュースのビタミンC含量が高くなったと考えられる。また、1缶(160g)当たり約2.5個分のトマトが使われている。トマトジュース100g当たりで考えると、トマト約1.5個分となり、これからもビタミンC含量が高い理由がわかる。文献値によると、ビタミンC含量は、生トマト15mg/100g、トマトジュース6mg/100gであった。これより、今回使用したトマトジュースは非常に多くのビタミンCを含んでいることになる。結果、KAGOMEのカゴメトマトジュース(食塩無添加)においては、生トマトを摂取するよりも、トマトジュースを摂取する方がビタミンCを摂取するのに効率が良いと考えられる。 〈他の班の実験結果〉
豆腐作り実習レポート 〈結果(感想)〉一応豆腐はで出来たが、他の班に比べて柔らかかった。また味も多少アクが残っていた。原因として、ビンに入れる水の量が少なかったのと、アク抜きの時間が足りなかったためと考えられる。 <カラフル豆腐の製造実験> (1班のみ) 〈感想〉紫キャベツで作ったカラフル豆腐はしっかり固まっており、においは特に強くなった。しかし、食べてみるとキャベツの味とにおいがとても感じられた。個人的にはあまり好ましい味ではなかった。また、レモン汁をかけるとピンク色に変わった。牛乳豆腐の方は、失敗したらしく固まってはいなく、見た目、カッテージチーズのようだった。ニオイは特にしなかったが、食べてみるとレモンの酸味が多少感じられた。甘めにするとおいしいかもしれないと思った。 〈全員の感想〉
<豆腐の製造実験>−凝固剤の種類の違いが豆腐の出来に与える影響を確かめる 〈結果〉
〈考察〉今回の結果より、特に優れている凝固剤は、硫酸カルシウムとなった。しかし、班によっても違いの差が大きく必ずしも硫酸カルシウムが優れているとはいえない。水と食塩については、豆乳は固まらず、重さはガーゼと水分の重さと考えられる。また、硫酸カルシウムや塩化マグネシウム(にがり)を使用した場合、塩凝固であるのに対し、グルコノデルタラクトン(GDL)は、酸凝固によるものである。酸凝固とは、大豆タンパク質の等電点(荷電ゼロ)はpH4.5くらいで等電点より高いpHでは−に荷電し、低いpHでは+に荷電し、お互いの反発力で凝固するのを防いでいる。しかし、等電点に近づくとタンパク荷電による反発力が減り、凝固が起こる、GDLを豆乳に溶かすと、徐々にグルコン酸に変化することにより、豆乳(pH7弱)のpHが低下し等電点に近づくため凝固が起こることである。これより、凝固のしくみが違うため差も生じるのだと考えられる。 |
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〈課題レポート1、学生の好意により掲載〉 1.ビタミンの生理的意義 ビタミンは、細胞中で種々の代謝反応を進めるために、食餌中から微量摂取しなければならない。ビタミンはそれ自身はエネルギー源や生体の主要構成成分にはならない有機栄養素である。そのため、炭水化物、脂質、タンパク質などとは異なり、ミネラルと共に微量要素である。また、ビタミンは水溶性と脂溶性に分類され、この溶解性は体内での移動、排泄、貯蔵などのパターンに関連している。 ヒトなど霊長類、モルモットなどは、ビタミンCを体内で合成できないが、ほとんどの動物は、体内で合成できる。また、ビタミンB12の製造には、放線菌などが用いられる。ビタミンCにおいては、酸化細菌によるD−ソルビトールからのL−ソルボース発酵が重要である。 2.ビタミンの分類と種類
3.補酵素とビタミンの関係 水溶性ビタミン類のうちビタミンC以外は生体内酵素反応の補酵素として作用し、脂溶性ビタミンは補酵素作用はない。 また、ビタミンは補酵素分子のうちでもその化学基または水素、電子を受容する作用部位となっている。 4.アスコルビン酸の生合性経路 アスコルビン酸の生合性経路は、ウロン酸サイクルの一分枝である。(下図1,2)
5.アスコルビン酸の役割・働き アスコルビン酸は生体内の多くの水酸化反応で還元剤として機能している。コラーゲン生成の場合、ペプチド結合しているプロリンをプロリルヒドロキシラーゼが水酸化するが、その反応には分子状酵素、Fe2+イオン、2−オキソグルタル酸と還元剤としてアスコルビン酸が必要である。生体内においては、ラジカルの連鎖反応で過酸化脂質が生成してくるが、アスコルビン酸は、活性酵素とその他のフリーラジカルを捕捉し、その連鎖反応を停止させる働きをしている。一方、アスコルビン酸はビタミンEの抗酸化作用に伴って生成するビタミンEラジカルを還元し、ビタミンEを再生する作用も行っている。 <参考文献> 生化学実験講座 13、ビタミンと補酵素(上)、(下)(社)日本生化学会、食品化学 安井勉、桐山修八、新しい食品化学、川岸瞬朗、中村良、微生物とその利用 緒方靖哉 コロナ社、HP:カゴメトマト大学http://www.tomato-univ.com/index.asp *課題レポート1、学生の好意により掲載* 1.ビタミンの生理的意義について。動物が合成できるビタミンは?植物は?微生物は? 微量でヒトおよび動物の栄養を支配する有機化合物で、体成分の構成材料や、エネルギー源となる炭水化物、脂質、タンパク質と異なり、生体内の代謝を含む種々の生理現象に潤滑油的な役割を演じ、動物体内では合成できないために外部より摂取しなければならない必須栄養素である。 *動物が合成できるビタミン ビタミンC(ヒト、サル、モルモットを除く)、D、A、ナイアシン、パントテン酸 *植物が合成できるビタミン ビタミンA、E、K1、B1、C、葉酸、ナイアシン、パントテン酸、ビタミンB6、B2 *微生物が合成できるビタミン ビタミンK2、B2、ナイアシン、ビオチン、葉酸、パントテン酸、B12、E、B1 2.ビタミンの種類と分類 *脂溶性ビタミン ビタミンA(レチノール)、ビタミンD(カルシフェノール)、ビタミンE(トコフェノール)、ビタミンK(フェロキノン、メナキノン) *水溶性ビタミン ビタミンB1(チアミン)、ビタミンB2(リボフラビン)、ビタミンB6(ピリドキシン)、ビタミンB12(コバラミン)、ナイアシン(ニコチン酸、ニコチンアミド)、パントテン酸、葉酸(プテロイルグルタミン酸)、ビオチン、ビタミンC(アスコルビン酸) 3.補酵素とビタミンの関係は? ビタミンの多くは生体内で補酵素型に変化したり、活性型に転換してその生理機能を発揮する。その機能は物質代謝における触媒作用のほか、膜機能やタンパク質合成に及ぼすホルモン様作用などである。特にB群ビタミンの多くは活性型としてリン酸エステルの形で酵素の成分である補酵素(coenzyme)となって酵素タンパク(apo-enzyme)と結合して作用するものである。 4.アスコルビン酸の生合性経路 L−グロン酸→L−グロノ−γ−ラクトン→アスコルビン酸が主な経路となっている。ヒト、サル、モルモットなどビタミンCを合成できない動物は最終段階のL−グロノラクトンオキシダーゼを欠いているためビタミンCが合成できない。 5.アスコルビン酸の役割・働きについて(アスコルビン酸=ASA) *コラーゲン合成 コラーゲンの構成アミノ酸としてヒドロキシプロリオンとヒドロキシリシンが挙げられる。この両者は直接ポリペプチド鎖に取り込まれるのではなく、まずプロリオンとリシンとして取り込まれた後、ヒドロキシル化されてヒドロキシプロリオンとヒドロキシリシンとなる。アスコルビン酸はこのヒドロキシル化の過程で重要である。 *薬物代謝酵素活性及び誘導 アスコルビン酸が薬物代謝系のどの部分に関与しているかは今のところ明らかではない。 *ラジカルの生成 アスコルビン酸の酸化過程において中間体としてアスコルビン酸ラジカルが生成する。 *インターフェロンの産生促進 インターフェロン・・・多様な作用を有する生理活性物質。ウィルス抑制作用、抗腫瘍作用が注目されている。 *環状ヌクレオチドレベルの上昇 *抗ヒスタミン作用 アスコルビン酸はin vitroでヒスタミンと相互作用しうる。アスコルビン酸によってレベル上昇するcAMPは、ヒスタミンの放出を抑制することが知られている。 *コレステロール低下作用 AsAは界面活性作用によってin vitroでコレステロールやコレステロール−リン脂質−カルシウム複合体を溶解させる。 *免疫機能増強作用 AsAはin vitroでヒト白血球の遊走性を促進する。 *抗ウィルス作用、抗菌作用 *抗腫瘍作用 AsAラジカルは、発癌の原因となりうる過剰に生じたフリーラジカルを捕捉する。 *血管の柔軟性 *抗酸化作用 *タンパク質代謝・ホルモン代謝 *課題レポート2、学生の好意により掲載* 1.タンパク質の凝集する仕組みについて原理を述べよ。 食品のタンパク質は溶解性から分類がなされている。現在、動物性のタンパク質も含め、利用されているのは水溶性のアルブミン、塩容性のグロブリン、70〜80%アルコールに溶解するプロラミン、希酸や希アルカリに可溶なグルテリンなどが主なものである。ちなみに大豆の主要なタンパク質はグロブリンであり、グリシニンと呼ばれている。水溶性や塩容性のタンパク質は溶液中で球状をしていて、中にポリペプチドが折り畳まれた構造をとっている。このタンパクシツ球の表面にはアミノ酸側鎖由来の荷電や親水基の残基があり、水に溶解しやすくなっている。この荷電には+と−があり、周囲のpHで解離状態が変化する。(下図参照)そして、見かけ上、+と−の荷電のpHでは不安定になり、沈殿することが多い。グリシニンやカゼインはpH4.5付近で等電点沈殿する性質を持っている。また、グリシニンは、カルシウムやマグネシウムイオンの存在下で沈殿する性質を持っている。
2.加工食品に利用されている植物タンパク質、動物タンパク質とは何が違うのかを項目ごとに示せ。(1)栄養素 (2)色 (3)味 (4)香り (5)機能性成分 (1)動物性タンパク質は必須アミノ酸がほぼそろっており、アミノ酸スコアが100である。しかし、植物性タンパク質は、リジン、スレオニン、トリプトファンなどのアミノ酸が少なく、栄養価が劣る。アミノ酸スコアは米65、小麦44、大豆86である。 (2)動物タンパク質は赤色である。これは主にミオグロビンであり、血液の色素のヘモグロビンも少し関与する。ミオグロビンもヘモグロビンも動物組織の中で酵素を結合することができ、赤色のヘム(発色団)と無色のタンパク質(グロビン)が結合した色素タンパクである。一方植物性タンパク質は主にイソフラボン、フラボン、フラボノールの色に由来している。これらの色は淡黄色であり、カロチノイドをもつものは黄橙色や紫色を呈し、クロロフィルを持つものは緑色を呈す。その他は無色である。 (3)動物タンパク質の味は、油脂の滑転味による。これは一種の舌での触感であり、舌の上に油脂の皮膜を生じ、それによって感じるなめらかな触感である。油脂の粒子の大小、口の中に形成される油脂の皮膜の厚さ、乳化性等により支配される。よって、油脂の融点、親水物質の溶存状態などが重要である。 植物性タンパク質は甘みを感じることが多い。甘味物質により度合いは異なる。しかし、本来の主要成分は、無味、無臭である。高分子物質は、一般に立体障害のため、味細胞上の味覚受容体を刺激することはできないので味はない。 (4)上記で述べたように、高分子物質は無味、無臭である。食品の香りの中には共通する香気物質が多数存在し、それらのバランス、相互作用によって特定の香気を示すことが多い。柑橘類に共通する特有香にはテルペノイドが多く、他にシトラールやネロールがある。植物の香りはエステルによるものが多く、鎖状アルコールとその酸化物である有機酸の結合したものである。豆を例に挙げるとこの豆臭は2−ベンチルフランによるものである。この化合物は、不飽和脂肪酸の酸化分解によって生じるものである。 動物性タンパク質であるが、種々のアミノ酸が複雑に絡み合って香りが形成される。これは植物性にもいえる。これらの香りはアミノ酸に由来する。 (5)動物性タンパク質について カゼイン・・・胃酸分泌抑制、カルシウム吸収促進、アンジオテンシン転換酵素阻害、血小板の凝集阻害 リゾチーム・・抗菌、静菌作用 植物性タンパク質について イソフラボン・・抗酸化性、がん予防効果、更年期障害予防効果 サポニン・・・・抗肥満作用 3.食品に利用されている植物タンパク質、動物タンパク質の具体例を挙げよ。 また、世界の大豆タンパク質の利用状況、日本の現状について述べよ。 植物タンパク質 ・グルテニン、グリアジン、グロブリン、ロイコシン・・・小麦に含まれる ・グリニシン・・・大豆に含まれる 動物タンパク質 ・ミオシン、ミオグロビン、コラーゲン、ミオアルゴミン、ミオゲン・・・肉に含まれる ・カゼイン、ラクトアルブミン、グロブリン・・・乳に含まれる ・オボグロブリン、オボアルブミン、オボムシン、ビリテン・・・卵に含まれる 日本・中国・韓国などのアジアでは古くから大豆は重要な作物で、直接食べるより、味噌、醤油、豆腐、納豆などに加工されて広く利用されてきた。他の世界各国の地域では大豆は植物油や飼料用といったタンパク質を利用する活躍といえるようなものはなされていない。だが、わずかずつではあるが、世界は食糧として大豆タンパクに目を向け始めている。近年アメリカでは豆腐や醤油に注目し、広がり始めている。その他に畜肉類似製品を大豆タンパクを利用して製造する試みが盛んになされた。また西側諸国では大豆に注目し、着実に大豆タンパク食品や大豆食品の市場が拡大し続けている。このように世界各国で大豆の消費需要はこのように世界各国で大豆の消費需要は広まっている。日本をはじめ、西ドイツ、スペイン、オランダ、中国、ベルギー、ロシア、イタリアなどは毎年大量に輸入している。日本では一昔前は欧米化に伴い、肉を大量に消費していたが、近年では健康ブームの到来と同時に急速に健康食品に目を向けるようになった。生の大豆がどこでも手軽に手に入ったり、納豆や豆腐等の加工品も安価でおいしいものが手に入りやすくなった。さらに今、おからや豆腐が加えられ、加工されたハンバーグ、プリン、ソーセージ等が売り出され、順調に売れ行きを伸ばしている。このように、日本や海外で大豆の栄養価の高さ、機能性に注目されている。 4.植物タンパク質の評価は動物タンパク質のそれより劣るだろうか?エネルギーコストから考えて、将来のタンパク質源確保について考えをまとめよ。 動物性タンパク質には植物性タンパク質よりも多くのタンパク質を含んでいる。また、栄養価も動物性タンパク質の方が高く、体の構成成分として無駄をそれほど出さずに利用される。しかし、動物性食品には多くの脂肪を含むものが多く、高カロリーであるため、過剰な動物性食品の摂取は動脈硬化や心臓病を引き起こす可能性が高い。同様に植物性タンパク質だけを摂取しても栄養素の不足が生じてしまう。よってどちらが優れているという問題ではなく両方摂取しなければならない。エネルギーコストから考えると確実に植物性タンパクの方が安価ではあるが、そういう問題ではない。一番よい方法はいくらかの動物性タンパク質を大豆タンパク質に代替することである。大豆は植物の中ではタンパク質が豊富で、栄養価も動物性にかなり近い値を示す。このように大豆をいくらか現状に+αとして取り入れることで、エネルギーコストの削減化が進み、同時に成人病予防などの健康を重視したライフスタイルに変えることができるだろう。これからの日本は高齢化とともに少子化が進む。よって、少しでも長く健康で働くことが重要となる。よって、ライフスタイルを改善し、またエネルギーコストの削減をも改善することが望ましいと思われる。 <参考文献・資料> 1.食物の科学 五十嵐 脩、今井 悦子編・著 放送大学教育振興会発行 2.インターネット 大豆等で検索 3.食品化学プリント 〈課題レポート2、学生の好意により掲載〉 1.タンパク質の凝集する仕組み 大豆タンパク質などが水に溶解した物は、親水コロイドとなり、水との親和力が強く粒子のまわりに多くの水分子を強く引きつけて溶液の安定を保っている。一般に親水コロイドは疎水コロイドに比べて凝析しにくいが、多量の塩類を加えることにより、凝析を起こす。 しくみとしては、タンパク質は−に荷電しており、塩類を加えることにより、+に荷電したマグネシウムやカルシウムなどが、−に荷電したタンパク質と結合し、溶解できなくなり凝固が起こる。 2.加工食品に利用されている植物タンパク質と動物タンパク質とは何が違うか。 (1)栄養素
左の表より、生物学的および化学的方法を総合してみると、タンパク質の栄養価は概して動物性タンパク質が高く、植物性タンパク質が低いことがわかる。 (2)色 動物タンパク質においては、肉の場合、ミオグロビンによるもので、牛乳の場合、カゼインによるものである。植物タンパク質においては、大豆タンパク質はイソフラボン・フラボノイドによるものである。 (3)味 植物性タンパク質に比べ動物タンパク質の方が、味が良く好まれる。 (4)香り 植物タンパク質の中で大豆タンパク質は、大豆特有のニオイがある。加工段階により、脱臭するが、全ては取りきれない。また、鶏肉のニオイの原因は動物タンパク質である。 (5)機能性成分 栄養については動物タンパク質の方が高かったが、植物タンパク質はコレステロールがなく、大豆タンパク質においては、コレステロール低下作用がある。 3.食品に利用されているタンパク質の具体例
世界の大豆タンパク質の利用状況 85% 大豆ミール 大豆製粉 大豆油 大豆ミール 濃縮大豆タンパク質 9% 人間の食品用 分離大豆タンパク質 世界の食品(大豆タンパク質) ○トウフ・・・中国のトウブ、タイのタウフ、ベトナムのダウフ、ミャンマーのドウフウ、朝鮮半島のトウブ、マレーシア;インドネシアのタフ ○テンペ・・・インドネシアの発酵大豆。バナナの葉に住む菌で発酵させる。 ○トウアナウ・・・タイの発酵大豆。バナナの葉で発酵させ、砕いて作る。 ○キネマ・・・ネパールの発酵大豆。バナナの葉で発酵させ、日干しにする。 ○豆鼓・・・中国。食塩を用いる塩辛い発酵大豆で調味料。 (トウチー) ○黄醤・・・韓国の代表的調味料で、日本の八丁味噌に似ている。 (ホワンジャン) 日本の現状(H15年) 大豆(1,035千トン) 味噌(149) 納豆(142) その他(176) しょう油(32) 凍豆腐(29) 豆腐・油揚げ(495) 豆乳(12) (単位:千トン) 4.植物タンパク質の評価(動物タンパク質と比べて) 植物タンパク質全体と動物タンパク質を比較すると、動物タンパク質の方が、必須アミノ酸をバランスよく含んでおり、栄養価も高いといえる。しかし、植物タンパク質の大豆タンパク質に注目してみると、大豆タンパク質は動物タンパク質と変わらない栄養価であり、また動物タンパク質に比べ体内への吸収率も高く、飽和脂肪酸も少なく、コレステロールはない。またコレステロールの酸化を防ぎ動脈の健康を守る。これより、大豆タンパク質においては、動物タンパク質よりも評価が高いと考えられる。 将来のタンパク質源確保 世界の人口が増え続けている中、将来に向けてタンパク質源にできるものを考えなければならない。動物タンパク質は、飼料などでどうしてもコストがかかってしまう。そこで、注目したいのがクロレラである。クロレラは蛋白質含有率が50%、単位面積当りのタンパク質生産速度が100倍という特性を持っている。実際に、豚のし尿処理に光合成菌を使い培養液を作ってクロレラを大量に増殖させ、豚の飼料になり、完全循環型の畜産で飼料費は2・3割も安く、病気も少ない豚を生産し、出荷している。クロレラはエネルギー源のほとんどを太陽光としていて、応用範囲は広く、未来に向けて考えていけると思われる。 <参考文献> 蛋白質食料読本:全国農業会議所、米・大豆と魚:株式会社 |