食糧科学
2003年度 食糧科学(2/3担当) 食料生産科学 小嶋道之
授業の進め方:
1.小グループ(4〜5名)での討論、発表形式で行う。
2.テーマについて各自調べ、ノートを作る。
3.テーマに付いて簡単な説明をする。(小嶋)
4.小グループでテーマについて話し合い、どれを発表するか決める。30分程度
5.発表する内容をOHPシートに書く。10分程度
6.発表(1グループ3分程度)。質問と討議をする。35分程度
7.次回のテーマについて確認する。5分程度
ルール:
8.全員、12月24日午後2時まで(時間厳守。それ以降は受け付けない。提出締め切り)にまとめて、毎回自分で調べたレポート、時間内に討議した内容のメモと発表した内容(グループ内用)をファイルして提出する。
9.発表は役割を決める。:進行係、OHP書き、発表者など
10.発表内容は、毎回評価する。
テーマ:
1.人の栄養になるものと牛の栄養になるものの特徴を比較し、エネルギーになる物は何かを説明する。(10/8、15)
2.人と牛の消化管の仕組みの違いと消化機構と吸収機構について説明する。(10/22)
3.食品の必須成分とその意義について説明する。なぜ必要か?(10/29)
4.呈味成分やにおい物質について説明する。また、その効果について説明する。(11/5)
5.食品の有害成分について説明する。(11/19)
6.食品の機能性について説明する。(11/26、12/3))
7.遺伝子組換え作物、クローン牛について説明する。(12/10,17)
通しての課題レポート:
「食料の安全」を確保するには、作る段階、加工する段階、流通する段階で何が必要か?
評価:
1. 毎回のグループ討論への積極的な参加の程度
2. 毎回の質問状況と質問に対しての答え方
3. 最終のレポート内容
4. 遅刻は認めない。8時50分より開始する。
5. 欠席は事前に申し出る事(最大2回までは可能だがそれ以上は認めない)。急なときは49-5547(小嶋研究室)メールを入れるkojima@obihiro.ac.j) まで電話連絡する。
課題レポート 食品の有害成分1.植物性の毒成分2.動物性の毒成分3.栄養素外物質4..アレルゲン5.内分泌かく乱物質6.変異源物質について例をあげて説明しなさい。
(補助プリント)
牛乳と草の成分(%)
成分 牛乳 草
水分 88.5 83.7
炭水化物 4.5(乳糖) 7.6(フラクタン、糖など)
3.2(繊維)
タンパク質 2.9 3.0
脂質 3.4 0.8
ミネラル 0.7 1.7
食物タンパク質の生物価
食物 生物価
鶏卵 0.87-0.97
牛乳 0.87-0.90
牛肉 0.76
大豆 0.75
白米 0.75
小麦 0.65
落花生 0.56
トウモロコシ 0.49
ネズミを用いた栄養実験で、消化管から消化吸収されたタンパク質のうち、身体のタンパク質に蓄積される値を食物タンパク質の生物価という。
・タンパク質を構成するアミノ酸は、20種類で、動物の体内で合成できるものとできないものがある。
・合成できないアミノ酸を必須アミノ酸といい、必要量を食物から必ず取る必要がある。
・ヒトでは8種類;メチオニン、フェニルアラニン、リジン、(ヒスチジン)、トリプトファン、イソロイシン、ロイシン、バリン、スレオニン ( )は子供とラットには必要。
・これらのうち1種類のアミノ酸が不足しても身体のタンパク質の合成は起こらない。
必須脂肪酸;動物の体内では合成されない脂肪酸
リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)等
・細胞膜、脳や神経組織の重要な成分、生理活性脂質;プロスタグランジンの前駆体
・牛乳中には総脂肪酸の約3%、人乳や豚肉には約10%
食品成分の反応性
-不快な匂い、有毒成分の生成、
脂質の酸化----自動酸化、光増感反応、リポキシゲナーゼ
脂質の酸化に関与する因子と防止法----脂肪酸組成、酸素、温度、光、金属イオン、酵素、ヘム化合物
抗酸化剤----トコフェノール、β-カロテン、アスコルビン酸など
・加熱変化---殺菌、加工特性の変化、消化性の向上、良い味や香りの付与----熱酸化重合、加水分解、熱重合、香気成分(アルデヒド類)、褐変
酵素反応----酵素的褐変(防止法と利用)----紅茶発酵に利用
ポリフェノールオキシダーゼ----加熱処理、食塩を添加、pHを酸性側(リンゴ酸、クエン酸など)、ホウ酸の添加、還元剤(アスコルビン酸、システイン、亜硝酸塩など)の添加により防止
プロテアーゼ----チーズ製造のレンニン(子牛第4胃に存在する酵素、カッパーカゼインのペプチド結合のうちPhe--Metを切断することで、カゼインミセル(αs1-、β-カゼインとCa2+による凝集沈殿物)を凝固させる。カッパーカゼインはその凝固を阻害している)
酵素(プロテアーゼ?)による味と香りの付与----グリコーゲン---乳酸---pH低下によるATP分解(ATPアーゼ)---アクチンとミオシンによるアクトミオシンの生成(死後硬直)----軟化
畜肉のATP分解によるイノシン酸の生成----ATP?ADP?AMP?イノシン酸?イノシン?ヒポキサンチン(イカ、たこ、貝類---- ATP-ADP-AMP-アデノシン-イノシン?ヒポキサンチン)
大豆の青臭み臭----酵素(リポキシゲナーゼ)により、大豆の不飽和脂肪酸から生じるヒドロペルオキシド由来
・ 成分間反応 非酵素的褐変----アミノカルボニル反応?アミノレダクトン?カルボニル化合物?メラノイジン(褐色物質)
防止法----酸素除去、低温保持、カルボニル化合物と反応する物質(システイン、SH化合物、亜硝酸塩など)を添加
亜硝酸塩の反応(肉の色と亜硝酸)(ニトロソ化合物)
ミオグロビン(暗赤色)----酸化----メトミオグロビン(灰褐色)----加熱---メトミオクロモーゲン(褐色)酸素化ミオグロビン(明るい赤色)
ミオグロビン(暗赤色)--*-酸化窒素(NO)---ニトロソミオグロビン(明るい赤色)---加熱---ニトロソクロモーゲン(明るい赤色)
*酸化窒素?アスコルビン酸などの発色助剤---亜硝酸塩----硝酸塩
第二級アミン?亜硝酸塩----N-ニトロソアミン
フェノールと亜硝酸塩----C-ニトロソ化合物
ソルビン酸と亜硝酸----変異原性物質
・食品にもともと含まれている有害成分;プロテアーゼ阻害物質、レクチン、グルコシノレート化合物、シアノーゲン、その他
・二次的・人工の有害成分;農業に使われる農薬・食品製造業で使用される食品添加物
農業増産のため;害虫(殺虫剤;神経毒)
有機リン剤 パラチオン、マラソン 解毒剤;パム)、病気(殺菌剤)、
有機塩素剤 DDT BHC PCB トリクレン
ダイオキシンと除草剤 植物を生長させるホルモン2,4-D 2,4,5-T
光合成を阻害する除草剤
光ラジカルを利用した除草剤 パラコート、ダイコート
保存料 微生物を殺し、増殖させない毒 安息香酸、パラオキシ安息香酸、デヒドロ酢酸、
AF2
人工甘味料 ズルチン(甘味度;砂糖の200倍、経口致死量0.7g)、
サッカリン(砂糖の500倍、経口致死量17.5g)、
チクロ(砂糖の40〜60倍、経口致死量17g)、
アスパルテーム(砂糖の150倍、アミノ酸2個結合したもの)
着色料 タール系色素(肝臓ガン誘発の可能性)
飼料添加物
2004年度 食糧科学(小嶋分担分)
教科書:食品機能論 同文書院
1. 総論
2. 農産物の機能
3. 水産物の機能
4. 畜産物の機能
5. 発酵食品の機能
6. 茶の機能
7. 保険機能食品
8. 色、味、香り
9. 遺伝子組換え食品
10. まとめ
Q&A方式で行うので、事前に目を通しておくこと。毎回全員に答えてもらう。