
家禽チフスは血清型 Gallinarum生物型Gallinarumの感染によって起こる鶏の急性致死的敗血症性疾病です。世界中で大きな経済被害をもたらすため、国際獣疫事務局(WOAH)のリスト疾病に含まれ、わが国でも家畜伝染病予防法で法定伝染病に指定されています。現在常在国では家禽チフスの生ワクチンが用いられていますが、その効果が不安定なため、有効な新規ワクチンやそれに代わる予防法の開発が望まれています。しかし、その標的となりうる本菌の病原因子群やそれらが関与する家禽チフス発症機序についてはまだ理解が進んでいません。私たちは、家禽チフス発症や菌の病原性に重要と考えられる50種類の遺伝子を特定しました。この成果を足掛かりに、宿主特異的な病原メカニズムの全体像を明らかにしようとしています。また、ひな白痢菌(同生物型Pullorum)の卵巣への組織トロピズムの解析により介卵感染メカニズムの解明も進めています。

牛サルモネラ症は、北海道内で発生件数が多いことが知られています。血清型Typhimuriumと血清型Dublinによるものは届出伝染病に指定されており、発生農場の経済被害が大きいため、大きな問題になっています。特にDublinは妊娠牛で死流産を起こすことがあるほか、糞便に排菌されないことが多く、糞便検査で感染牛を摘発するのは困難です。そこで我々は、複数の農場において従来の糞便の細菌・遺伝子検査や血清のサルモネラ抗体検査に加え、バルク乳の抗体検査による非侵襲性モニタリングの有用性を検証し、ワクチネーションの推進も含めたサルモネラ症発生予防対策の確立に向けて研究を進めています。

北海道内では、歴史的に血清型Abortusequiによる馬パラチフスが散発しています。この病気は伝染性流産や多発性膿瘍を主徴とし、届出伝染病に指定されています。先進国での発生が激減し、WOAHのリスト疾病から除外されてしまったため、海外での発生状況は正確に把握できていませんが、南米、ヨーロッパ、アジアでは今も発生があります。本血清型と馬パラチフスに関する詳細な研究は、世界的にほとんど進んでいません。そんななか、近年道内十勝地方における連続的な馬パラチフス発生を受けて、私たちは本菌の病原性や発症機序の解析を進めています。

汚染鶏肉を原因とする食中毒は増加の一途を辿っています。その主な原因菌はサルモネラとカンピロバクターです。喫食前の十分な加熱調理といった消費段階における対策だけでは食中毒リスクを低減できない状況です。そこで、私たちは鶏肉フードチェーンの上流にあたる食鳥処理段階、さらには農場での生産段階にまで遡り、鶏群の食中毒菌汚染の低減に向けた対策の確立に向けて、農場と食鳥処理場において鶏群と鶏肉の汚染状況の調査を行ってきました。今後はサルモネラの農場への侵入経路の解明が課題です。
V3 微生物学II
V3 微生物学実習
V3 感染症学I
V3 伝染病学実習
V3 家禽疾病学
V3 動物衛生学実習
V4 食品衛生学実習
M 動物医科学特論
M 動物病態・病因制御学特論2
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