薬理学講座の沿革
当講座は1952年市岡朝祐教授(在職1952-1959年)によって開講され、1961年には田村俊二教授(在職1961-1988年)、1988年には中里幸和教授(在職1988-1991年)、1991年には西村昌数教授(在職1991-2008年)によって受け継がれてきた。市岡朝祐教授は獣医薬理学の教育に専心し、田村俊二教授は馬産地の経済的損失の大きい馬の伝染性貧血症の病態解明を行い、中里幸和教授は現代的アプローチである情報伝達機構の課題と取り組み副腎髄質のクロマフィン細胞における化学伝達物質の放出機序の解明を試み、また西村昌数教授は、運動神経筋間の興奮伝達の可塑性と疾病ならびに伝達物質放出を調節するカルシウムの機能の解明、寒冷環境下における食情報調節機構の解明について検討した。現教授の石井利明は、1999年に大阪府立大学から当該講座に着任して以来、一貫して中枢神経系における認知・記憶学習・動機などの脳高次機能の解明や神経細胞の分化・増殖・アポトーシス機構の解明ならびに各種神経変性疾患の病態形成における分子機構の解明などを手がけている。
薬理学教室を希望される学生さんへのメッセージ
石井研究室では、主にマウスやラットなどの実験動物の個体や培養神経細胞を用いて、脳・中枢神経系の生理機能の発現や、パーキンソン病やアルツハイマー病に代表される脳神経変性疾患の発症機構の解明とその治療法の開発に取り組んでいます。脳の生理機能に関しては、哺乳動物の乳仔が短期間に急激な発達を遂げる離乳期の脳に着目し、離乳後に顕彰する自給本能(授乳期の母乳吸乳による受動的な食行動が自ら餌を探し獲得する自発的な食行動に移行する生得的能力)の発現と夜行性行動の獲得(動物成体が示す夜行性日内リズムの完成)に関する分子機構の解明を行っています。また、脳の病気に関しては、パーキンソン病で高頻度に発症する認知障害の発症機構の解明とその治療法の開発を行っています。