令和8年1月20日(火)、帯広畜産大学 講堂およびオンライン(Zoom)にて、「第3回 畜大シンポジウム~農畜産の未来を拓く、研究成果の社会実装~」を開催しました。
本シンポジウムは、帯広畜産大学が主催し、「次世代農畜産技術実証センター」の活動を広く周知するとともに、農畜産業の現場が抱える課題解決に向けて必要となる研究をいかに創出し、その成果を現場へ実装していくかについて、地域の多様な関係者の皆様と認識を共有し、今後の研究および社会実装の在り方を議論することを目的として開催しました。
当日は、学内外からの研究者、学生、業界関係者、生産者等の多岐にわたり、計166 名(会場87名とオンライン79名)が参加しました。
第1部:講演会
■「次世代農畜産技術実証センター」の紹介
本学 次世代農畜産技術実証センター長 河野 洋一 准教授
はじめに、次世代農畜産技術実証センター長の河野准教授からセンター紹介を行いました。
本センターの設置背景と、十勝の農畜産業が抱える課題解決に向けた産学官連携の役割について説明しました。あわせて、学外実証農場とARAを核に、現場ニーズを起点としたモジュール型実証研究を進め、研究成果の迅速な創出・社会実装、人材育成を一体的に推進する取組を紹介しました。
■基調講演
「研究成果の組織的社会実装と競争的研究資金の有効活用を考える」
東京農業大学 門間 敏幸 名誉教授
基調講演では、門間名誉教授から、社会実装が重視される科学技術政策の背景(Society 5.0等)を踏まえ、産学官連携の「場」づくりや競争的研究資金制度のポイントを解説。乾田直播やさつまいも基腐病防除などの事例から、現場での実証・仲間づくり・普及戦略の重要性が示されました。
■研究者講演①
「高収益作物としての小豆生産の新たな展開」
本学 グローバルアグロメディシン研究センター 森 正彦 准教授
研究者講演①では、森准教授より、十勝地方の畑作経営・小豆生産の振興に資する取組として、生産・加工・販売を一体で捉えるモジュール型実証研究をご紹介いただきました。
新品種開発と栽培技術の普及を通じた生産コスト・作業時間の削減を目指し、外部実証農場とARAを活用した実規模での作業性評価や、新品種に適した栽培技術の実証計画が示されました。
さらに、本研究には食品化学・経済学分野の教員や企業も参画し、加工適性評価や成分分析、マーケティングリサーチまで含めた、社会実装を見据えた連携体制が紹介されました。
■研究者講演②
「有機資材によるシストセンチュウの抑制効果の評価と作用メカニズムの検討」
soil 代表 今村 太一 氏
株式会社オホーツク大地 代表取締役 笹川 啓行 氏
本学 グローバルアグロメディシン研究センター 浴野 泰甫 助教
研究者講演②では、有機資材を開発・製造するsoilの今村氏、同資材の販売・流通を担う株式会社オホーツク大地の笹川氏、本学の浴野助教にご登壇いただきました。
農業による環境負荷の低減や家畜ふん尿を活用した肥料開発など、耕畜連携の推進に貢献が期待されるsoilの有機資材を対象とした共同研究が紹介されました。
ARAを介した地域課題の収集と意見交換を起点に共同研究が始まった経緯に加え、同資材による作物の生育改善やシストセンチュウ寄生抑制の効果を科学的に検証し、資材および土壌中の微生物群が果たす作用メカニズムの解明を目指す研究内容が共有されました。
さらに社会実装の観点から、製品を製造・取り扱う企業の立場から本研究への期待が語られ、抑制効果を通じた農薬使用量の低減や土壌環境の改善への展望が示されました。
■パネルディスカッション
テーマ:「現場が求める研究成果と社会実装とは」
座 長:東京農業大学 門間 敏幸 名誉教授
登壇者:
有限会社コスモス 取締役会長 安藤 智孝 氏
北海道糖業株式会社 事業開発課長 大葛 政史 氏
中村農場(本学 ARA/客員研究員) 中村 光多 氏
澤口牧場(本学 ARA/客員研究員) 澤口 裕斗 氏
パネルディスカッションでは、本イベントの趣旨である「農畜産業の現場課題の解決に向け、必要な研究をいかに創出し、その成果を現場へ実装していくか」について、地域の多様な関係者と認識を共有し、今後の研究および社会実装の在り方を議論しました。
はじめに各パネラーが、自身の経営体・産業が抱える課題や「何を解決したいか」を提示し、続いて会場からも研究者や企業、生産者といった様々な立場や視点に基づく意見・アイデアが寄せられ、解決に向けたアプローチを多角的に検討しました。
議論総括では、研究者のラボレベルの成果だけでは対応が難しい領域があることを共有し、現場での実証研究の重要性、さらに地域の企業・行政・生産者等が一体となって取り組む産学官金連携の必要性を再確認しました。併せて、共創の場として次世代農畜産技術実証センターへの期待が示される機会となりました。
【グラフィックレコーディング】
株式会社たがやす 様
本イベントのパネルディスカッションでは、登壇者・参加者の皆様にとって「今、どんな話をしているのか」「結局、何が言いたかったのか」が見えにくくなりがちな点を補うため、グラフィックレコーディングを導入しました。
「グラフィックレコーディング」とは?
討論内容を絵と言葉でリアルタイムに図解し、分かりやすく可視化・記録する手法です。当日は、発言の要点やキーワード、議論のつながりをその場で整理しながら描き起こしていただき、終了時には全体の論点を短時間で振り返る総括もご担当いただきました。
■ウェルカムボード
イベント受付にてウェルカムボードを設置しました。参加者の皆様には、本イベントへの期待や、北海道・十勝の酪農・農業の未来に関する考えを、ヒアリングに加えてシール貼付で表明いただき、会場で“見える化”しました。
■パネルディスカッション
パネラーだけでなく、会場の多様なステークホルダーの意見も拾い上げながら、議論の展開をリアルタイムで可視化していただきました。
別途、グラフィックレコーディングの記録ページをご用意いたしました。
下記URLから画像データをご覧ください。
■情報交換会での参加者の声
さらに情報交換会では、ウェルカムボードとパネルディスカッションの成果物を展示しました。展示を囲みながら、登壇者・参加者の感想や意見を収集・記録していただき、それらの書き込みも行っていただきました。
壇上の議論で終わらず、終了後も登壇者と参加者の交流や意見交換を促す“きっかけ”として活用しました。
グラフィックレコーディングの作成物は、関係者の振り返りや今後の共創につなげることを目的に、講演会・情報交換会会場での展示に加え、本Webサイトにも掲載しました。
第2部:情報交換会
シンポジウム終了後には、帯広畜産大学 かしわプラザ コミュニケーションホールに場所を移して情報交換会を行いました。
グラフィックレコーディングの展示と共に、登壇者・参加者間での交流を通じて、分野や立場を横断した活発な意見交換が行われ、盛会のうちに終了しました。
■参加者アンケートより
「研究成果の社会実装を進め、地域課題を解決する“Hub”として機能してほしい」「センターの取組を学内外の研究者にも広げる工夫があると発展が期待できる」「地域住民にも無理のない形で活動を周知してほしい」など、本学と次世代農畜産技術実証センターの教育研究活動への期待とお声をいただきました。
次世代農畜産技術実証センターでは、現場と研究開発の間にあるニーズやスピード等のギャップを共有しながら、研究成果の社会実装に向けた取り組みを引き続き推進してまいります。
<お問い合わせ>
シンポジウムに関するご質問やご意見がございましたら、
以下の連絡先までお問い合わせください。
帯広畜産大学 次世代農畜産技術実証センター
TEL:0155-49-5770/E-mail:alihub[アットマーク]obihiro.ac.jp

















