中間報告
背景と目的

「障がい者乗用馬ならびに在来馬の生産法確立事業」での残された課題
■技術普及の必要性
サラブレッド医療の進んだ日本には、馬受精卵移植を経験した生産関係者は皆無である。
技術を普及し、経験を重ねることにより、乗用馬や在来馬を受精卵移植によって生産することは可能である。技術を普及定着させ、国内で必要とされる障がい者乗用馬等の生産を加速させる必要がある。
■受精卵移送の必要性
先行研究開発では同じ施設内で回収後 30 分以内に受精卵移植が実施されたが、発情周期が同期化された代理母馬が近隣に飼養できないことも多い。乗馬や在来馬の受精卵移送耐久時間は不明であり、鉄路・空路・道路にて移送し、代理母馬に移植する生産法を確立する必要がある。
■受精卵凍結技術確立の必要性
家畜やヒトの生殖医療においても、精子や卵子、受精卵の凍結保存技術が確立されているが、馬受精卵凍結保存は、他の家畜と比較して困難であることが知られている。新しい凍結保存技術を確立し、障がい者乗用馬や在来馬の受精卵を安定的に保存する技術を確立することが有用である。
R2-4年度「受精卵による障がい者乗用馬等の生産法確立事業」の計画

レーザー穿孔顕微鏡による凍結保存の前処置

ガラス化凍結保存

耐凍剤になじませた受精卵をクライオトップにのせ、液体窒素中に直接投入(ガラス化凍結保存)


世界初となる、レーザー穿孔による凍結受精卵を移植して生産された2頭の馬

2021年8月1日生まれ 牝

2021年8月11日生まれ 牝
2020-2021年にかけてレーザー穿孔凍結受精卵14個の移植により、上記2頭の出生を含め4頭の移植成功、2022年8月に2頭誕生予定

令和3年8月26日 北海道新聞
木曽馬の受精卵移植計画

希少な日本在来馬、木曽馬の里乗馬センターにて
木曽馬から受精卵を回収 (2021年6-7月、5回)

合計5回の受精卵回収で3個の受精卵を回収。

木曽馬の受精卵が10時間かけて帯広畜産大学に運ばれ、北海道和種馬2頭への移植に成功

ホースセラピーに適した体格の馬の新しい妊娠診断方法がJVMS誌に掲載された
Ultrasonographic examination of equine fetal growth parameters throughout gestation in pony for Equine Assisted Therapy.
Yuanzhi Gao, M A Hannan, Kaishi Murata, Reza Rajabi Toustani , Yasuo Nambo. J Vet Med Sci. 2022 Jan 7;84(1):74 81.


R2-4年度「受精卵による障がい者乗用馬等の生産法確立事業」の進捗状況
