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「十勝型フードシステム形成プロジェクト キックオフシンポジウム」開催要旨(2)

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事業説明1 宮竹史仁 帯広畜産大学教授  「次世代堆肥化ロボットの高度化と堆肥利用による資源循環の促進」

 家畜糞尿や有機性廃棄物を資源として循環させる堆肥化は、環境負荷を抑えた持続可能な農畜産業を支える重要な基盤技術です。近年は、化学肥料やおが粉敷料の価格高騰、資源の多くを海外に依存している現状が顕在化しており、国内で安定的に確保できる堆肥を肥料や敷料の代替として活用する意義が一層高まっています。

 しかし現場では、十分に発酵していない未熟な「生堆肥」が施用される例も多く、作物生育への影響や温室効果ガス排出の要因となるなど、良質な堆肥を安定的に生産することが大きな課題となっています。

 こうした課題に対応するため、本研究では、通気量自動制御システム、温度測定による発酵状況の可視化、発酵診断技術、自動切り返し機構などを備えた堆肥化ロボットの開発を進めています。これにより、従来は経験や勘に依存していた堆肥化工程をデータに基づいて管理し、省力化と省エネルギーを実現しながら、安定して良質な完熟堆肥を生産することが可能となります。

 これらの技術は、北海道内外の複数地域で導入が進んでおり、敷料費や肥料費の削減、温室効果ガス排出量の低減といった効果を上げています。堆肥を単なる廃棄物ではなく経営資源として位置づけ、耕種と畜産が連携した資源循環型農業を構築することで、地域全体の持続性向上につなげていきます。

事業説明2 福田健二 帯広畜産大学教授 「未利用資源活用・新技術活用による新商品開発」

 日本の酪農産業では、需給ギャップによる過剰在庫、人口減少に伴う消費構造の変化、生産資材や飼料価格の高騰などが重なり、収益性の確保が大きな課題となっています。特に、生乳をどのように加工し、付加価値の高い製品として展開していくかが重要です。

 こうした中で注目しているのが、これまで十分に活用されてこなかった初乳やチーズホエイといった未利用資源です。初乳は制度上流通が制限され廃棄されるケースが多いものの、北海道だけでも年間約1,000トンの活用可能量が見込まれます。また、チーズ製造過程で発生するホエイは、大規模工場では利用できている一方で、中小規模工房では処理負担が課題となっています。

 本研究では、これら未利用資源に含まれる機能性成分に着目し、十勝産生乳由来の乳業用微生物ライブラリーを基盤として、新規機能性乳製品や家畜飼料の開発を進めています。現在500菌株以上を保有し、呈味性の向上や熟成促進、血圧降下作用、腸管バリア機能強化などの有望な知見が得られています。

 さらに、噴霧凍結乾燥法などの新たな乳加工技術の実用化にも取り組み、乳の機能性を保持した次世代型製品の開発を通じて、健康志向市場の創出と乳製品需要の拡大をめざしています。

事業説明3 岩本博幸 帯広畜産大学教授 「3大学連携における融合教育の展開と大学改革」

 人口減少や人手不足、デジタル化への対応の遅れ、学び直しニーズの高まりなどを背景に、地域では人材が育ちにくい状況が続いています。加えて、分野の縦割りや実務との乖離、社会人が参加しにくい教育体系など、人材育成の現場にも課題が顕在化しています。こうした状況を踏まえ、本事業では、生産から加工、流通、販売、消費までを一体で捉えるフードバリューチェーンの視点から、付加価値を創出・最大化できる人材の育成をめざします。

 そのために、帯広畜産大学、小樽商科大学、北見工業大学の3大学が連携し、農学・商学・工学を横断する文理融合型の教育を展開します。各大学の強みを生かし、複数分野の教員が関わる授業や、産学官金連携による実務型教育を通じて、俯瞰的にビジネスを構想できる力を養います。

 また、学部生、大学院生、社会人など多様な受講者が共に学ぶ共創型の学習環境を整備し、モジュール化による柔軟な履修を可能にします。企業と連携した課題解決型学習を通じて、人材育成と同時に地域や企業の課題解決を進め、新規事業創出や生産性向上、ネットワーク形成へとつなげていきます。こうした取組により、地域とともに人材が育ち、価値が循環する仕組みの構築をめざします。

カテゴリ
活動報告
タグ
計画推進事業大規模農業生産基盤強化事業酪農・畑作バリューチェーン強化事業人材育成事業
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