みなさんは、感染症などの病気の予防、健康相談などの保健業務、食品安全や環境保全に関わる衛生業務をしている保健所のように、全国の都道府県に家畜保健衛生所があることを知っていますか。近年、養鶏場で高病原性鳥インフルエンザ、養豚場で豚熱という伝染性の高い感染性の病気が発生し、白い作業服を着たたくさんの人たちが発生農場で作業をしている映像をテレビやネット新聞で見たことがあると思いますが、あの人たちの中に獣医さんがいます。その獣医さんが勤めている職場が家畜保健衛生所です。家畜保健衛生所は、家畜保健衛生所法第1条に基づいて、畜産の振興のために各都道府県に作られていて、働いている獣医さんは各都道府県の地方公務員です。獣医さんは、大学で家畜の病気について学ぶだけでなく、病気の原因となる細菌、ウイルス、寄生虫などの微生物や洗剤、消毒剤、殺菌剤などの化学物質の特徴も学びます。上述したような重要な病気が発生した場合には、これら知識を使って病気の拡散を防止し、農場をきれいな状態に戻します。また、農家さんと一緒になって病気が発生しないような取組も行っています。例えば、農場の衛生状態や病気の発生状況を定期的に調査し、その調査結果に基づいて病気が発生しないような対策を考え、実施しています。他にも、動物用医薬品が動物病院、薬局、ホームセンターで適切に扱われているのか定期的に確認しています。普段は自分が勤めている家畜保健所が担当する地域で働いていますが、高病原性鳥インフルエンザや豚熱など、重大な被害が生じる可能性がある病気が発生した場合には、全国の獣医さんが協力して発生地域にある農場をきれいな状態に戻します。
また、獣医さんは保健所でも働いています。家畜保健衛生所は、家畜保健衛生所法第1条に基づいて各都道府県が作っていますが、保健所は、地域保健法第5条に基づいて都道府県だけでなく、政令指定都市や中核市などの大きな市(保健所政令市)や東京23区が作っています。保健所で働く獣医さんも地方公務員で、例えば、食品の安全確保のために食品衛生監視員(食品衛生法第30条)として、飲食店、小売店、食品工場などの衛生指導を行っています。また、現在国内で発生はありませんが、人が感染して発症すると高い割合で死んでしまう狂犬病という病気があり、この病気が発生しないように、迷い犬や野良犬を保護している狂犬病予防員(狂犬病予防法第3条)として働いています。他にも、動物の愛護、適切な飼育、動物による噛みつきなどの危害の発生防止のための仕事を動物愛護管理担当職員(動物の愛護及び管理に関する法律第37条の3)としても働いています。なお、狂犬病予防員と動物愛護管理担当職員は、保健所でなく、動物愛護管理センターで働いている場合があります。