第1回 食肉衛生検査所で働く獣医師

 2025年1月から「食肉の嗜好性に関するアンケート」への回答をお願いしていますが、皆さんが毎日のように食べている牛肉、豚肉、鶏肉などのお肉は、獣医さんが健康であることを確認した家畜のみから作られています(一部例外があります)。牛、馬、豚、めん羊、山羊が「と畜場」に運ばれて牛肉や豚肉などの食肉に、また、鶏や七面鳥が「食鳥処理場」に運ばれて食鳥肉になります。そして、と畜場では「と畜検査員」、食鳥処理場では「食鳥検査員」が、運ばれてきた動物が健康であるのかを確認していますが、これら検査員は全員、都道府県や政令指定都市などにある食肉衛生検査所で働く地方公務員である獣医さんです。細かなことは、「と畜場法」と「食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律」に記載されているので省略しますが、これら動物の健康状態を診断できるのは獣医さんしかいないからです。

 獣医さんは、大学でいろいろな動物の特徴や病気について学びます。その知識を使って、と畜場や食鳥処理場に運ばれてきた動物の健康状態を診断します。みなさんが病気や健康診断のために病院に行くと、お医者さんが丁寧に問診・検査をしてくれると思います。動物も基本的には同じです。動物がこれら食肉処理施設に運ばれてくると、まず、獣医さんは動物の体表や、目や鼻などの粘膜を見て外見上異常がないか確認します。この段階で、異常が認められた場合、動物は次の作業に進むことができません。もし、動物が病原体に感染していて、次の作業に進んでしまったら、食肉処理施設が病原体によって汚染されてしまう可能性があるからです。外見上異常がないと診断された動物はと畜され、さらに、体から取り出された肝臓や消化管などの内臓に炎症や出血がないか直接観察したり、免疫器官の1つであるリンパ節が大きくなっていないかなどを確認したり、体の外側だけでなく、内側を含めて動物の健康状態を獣医さんが確認します。また、食肉部分(枝肉)の腫れ、傷、汚物の付着なども確認します。そして、これら検査に合格できたものだけが食肉や食鳥肉なって食肉処理施設から出荷されます。通常、目による検査(肉眼検査)が基本ですが、目視検査で判断できない場合には、人と同じように精密検査を実施する、特別な部屋で解剖するなど、詳細に調べてから判断することもあります。

 さらに、食肉処理施設で働く人たちと一緒になって、食肉や食鳥肉が糞便等の汚物に汚染されないように、食肉に付着した微生物が増殖しないようにするためにできることを常に考えています。

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