みなさんは海外旅行に行ったことはありますか。海外との窓口となる空港や港湾には検疫所や動物検疫所があり、獣医さんが働いています。第2回では、国内各地に保健所と家畜保健衛生所があって、保健所には感染症などの病気の予防、健康相談などの保健業務、食品安全や環境保全に関する衛生業務をしている獣医さん、家畜保健衛生所には畜産の振興のために家畜の病気の発生防止や拡大防止などの動物衛生業務をしている獣医さんがいることを紹介しました。このような獣医さんは、保健所や家畜保健衛生所のある地域のために働いている地方公務員です。
一方、検疫所と動物検疫所で働く獣医さんは、それぞれ厚生労働省と農林水産省に所属している国家公務員です。保健所で働く獣医さんは各地域の保健業務を行っているのに対し、検疫所で働く獣医さんは、検疫官や食品衛生監視員として、海外に存在する人の感染症の原因となる病原体が人や食品などによって日本国内に持ち込まれないように監視をしています。海外旅行する人が増え、また、海外からの観光客や労働者も増えています。さらに、輸入食品の量も種類も増えています。海外には、みなさんが経験した新型コロナウイルスのような重大な健康問題となる可能性がある病原体が他にも存在しており、その侵入を阻止するために検疫所で働いています。また、検疫所で監視するだけでなく、輸入食肉については、国内の食肉処理施設と同じ衛生管理体制で作られているのか、海外の食肉処理施設に行き、現地調査を行うこともあります。
動物検疫所で働く獣医さんは、家畜防疫官として、海外から動物の感染症の原因となる病原体が動物や畜産物などによって持ち込まれないように監視をしています。例えば、牛や豚などの家畜を国内で繁殖させる場合、動物園で展示する動物を輸入する場合、外国人労働者がペットを連れて入国する場合、海外赴任中にペットを飼い、一緒に帰国する場合など、様々な目的で動物が国内に入ってきており、その際に動物の健康状態を確認します。また、動物の健康状態に関係なく、国内に入れてはいけない動物の種類や、飼い主が事前にしておかないといけないこと(ワクチン接種、健康証明書など)があり、それらのチェックを行います。ほかにも、食肉等の畜産物の輸入量やお土産や自己消費目的で個人が国内に持ち込む畜産物(ハム、ソーセージ、チーズなど)が増加しており、その監視も行っています。空港で動植物探知犬を見たことがある人もいるのではと思いますが、動植物探知犬と一緒になって不法に持ち込まれる畜産物のチェックを行っています。国際貨物便についても同様に監視しています。
検疫所で働く獣医さんについては厚生労働省が、動物検疫所で働く獣医さんは農林水産省が毎年一定人数の採用を行っています。