第1回アンケート調査にご協力いただきありがとうございました.全国各地,幅広い世代のみなさま(1,196名)からご回答をいただきました(2025年2月3日現在).
「食肉の嗜好性に関するアンケート」は,食肉の嗜好性と食肉に由来する感染症との関連を知るために行なっています.食肉の嗜好性という観点では,ジンギスカンと言えば北海道,鳥刺しといえば九州など,食文化(食習慣)には地域性があり,観光旅行の楽しみの一つにもなっているのではないでしょうか.一方,食肉由来感染症の観点からは,食肉になる動物も,細菌,ウイルス,真菌(カビ),寄生虫など,様々な病原体を保有しており、食肉に付着することもあります.食肉由来感染症の中には,感染経路が明らかになっていないものや,発生率に地域性があるものも存在します.そのため,それぞれの地域にお住まいの方が食べている肉の種類や部位,調理法などを調査し,食肉由来感染症の発生との関連を科学的に明らかにすることは,感染症を防止する上で非常に重要であると考えています.
また,アンケートを通して,食文化の地域性だけでなく食肉由来感染症について知っていただくことも防止につながると考えており,第1回アンケートを継続しておりますが,現時点での回答を集計しましたので、概要を報告いたします.第2回以降のアンケートは,さらに踏み込んだ内容の質問をさせていただきます.ご協力よろしくお願いいたします.
肉が好きかどうかという質問に対して,多くの方が「好き」と回答しました.
2. 過去1年間に各種動物の肉を食べたか
それぞれの動物種の肉について,過去1年間に食べたか質問したところ,主な食肉である牛肉,豚肉,鶏肉については,98%以上の方が食べたと回答しました.羊肉を食べたと回答した方は半数を超えましたが,馬肉では半数以下でした.鹿肉を食べた方は約3割,猪肉を食べた方は2割以下でした.意外とヒツジやシカを食べていますね.
それぞれの家畜の肉をどのくらいの頻度で食べたか質問しました。主要な食肉である牛肉,豚肉,鶏肉について結果を示しています,豚肉と鶏肉はほぼ同程度の頻度で食べられていました.いずれも週1〜2回あるいは週3〜6回という回答が多く,日常的なメインのおかずとして食べられていることが分かります.これらと比較すると牛肉を食べた頻度は少ないですが,価格を考えると当然のことと言えます.
家庭で最も頻繁に食べた肉としては豚肉と鶏肉が多く,これらが全体の約95%を占めていました.豚肉,鶏肉と答えた方の割合はほぼ同程度でした.飲食店では牛肉を頻繁に食べた方が43%と最も多い結果でした.外食で少し贅沢したい時に牛肉を食べているのではないでしょうか.バーベキューでも牛肉が最も高い頻度で食べられていました.また,バーベキューでは羊肉の回答数が鶏肉を上回りました.
過去1年間に家庭で肉を食べたと回答した方の中で,最も頻繁に食べた肉を地域ごとにグラフに示しました.どの地域も90%以上の方が豚肉あるいは鶏肉と答えました.東北・関東・中部地方では豚肉,北海道・近畿・中国・四国・九州地方では鶏肉の割合がやや高いようです.
同様に,外食(飲食店)では40%以上が牛肉を頻繁に食べたと答えました(東北地方のみ34%).これに続いて豚肉と鶏肉が同じ程度食べられていました.九州地方では飲食店でも豚肉よりも鶏肉がよく食べられているようです.
バーベキューで肉を食べた場合,牛肉を頻繁に食べたと回答した方が多く,特に近畿・中国・四国地方では9割前後の方が牛肉と答えました.中部地方以北では18〜37%が豚肉と回答しましたが,近畿地方以南では10%未満でした.九州地方では他の地方と比較してバーベキューでよく鶏肉を食べていました.北海道では羊肉と回答した方が20%と多く,やはりジンギスカンが人気のようです.また,グラフには含まれていないデータですが,北海道では8割近くの方が過去1年間にバーベキューで肉を食べたと答えました.他の地域では半数前後ですので,北海道でいかにバーベキューが好まれているかが分かります.
以上,今回のアンケート調査により,みなさんが日常的に豚肉,鶏肉を食べており,それより頻度は落ちるものの,外食やバーベキューなどでは牛肉を好んで食べていることが分かりました.また,北海道で羊肉,九州地方で鶏肉が好まれているといったように,地域による特徴が見られました.引き続き回答を集め,今後の研究に役立ててまいります.
第2回アンケート(豚肉に関する調査)を実施中です。こちらについてもご協力お願いいたします。